本当かよ!? 空自F-2後継の新戦闘機計画「GCAP」にオーストラリアも参加←現地の専門家に聞いてみた

日英伊の3か国共同で進む次期戦闘機の開発プロジェクト「GCAP」に対し、一部メディアがオーストラリアも参加を検討していると報じました。実際はどうなのか、現地の専門家に真相を聞きました。

豪州と日本の似た状況

 ナイジェル氏によると、アバロン・エアショーにおいて初めて「GCAP」のブリーフィング(情報説明)が行われたことは事実のようです。しかし、これが即座にオーストラリアの計画参加に直結するわけではなく、ナイジェル氏も「この計画にオーストラリア空軍が将来的に十分な関心を持てば、同国がパートナー国の一員として日本・イギリス・イタリアとともに参加する可能性はあるかもしれません」と分析しています。

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ナイジェル氏が編集を務めるオーストラリアの防衛メディア「Australian Defence Magazine (ADM)」。

 今回、BAEからGCAPについて説明を受けたのはオーストラリア空軍の高官でしたが、実際に国家として多国間の戦闘機開発計画に参加するには政府の承認が必要であり、たった1回の情報説明で決定することはありません。ナイジェル氏が今回の出来事を「将来的な可能性」として捉えたのは妥当といえるでしょう。

 とはいえ、どのような機体を選ぶにせよ、オーストラリア空軍が次世代機の選定を始める時期に差し掛かっているのは確かです。ナイジェル氏も「オーストラリア空軍は24機のF/A-18Fと72機のF-35Aを運用していますが、F/A-18Fについては2040年まで運用を継続すると公表しています。それ以降は、既に導入されているF-35を補完する新たな戦力が必要となります。この方向性は、『GCAP』が目指す将来像と合致しており、同空軍の次世代空中戦闘能力に符合するものだといえるでしょう」と述べていました。

 なお、オーストラリアが求める能力のひとつには、広大な国土と島国という地理的条件から「長い航続距離」が挙げられます。これは、機体の大型化が特徴の「GCAP」ともマッチする可能性があります。ただし、機体の大型化は「GCAP」に限らず、現在開発中の第6世代戦闘機全般に共通する傾向でもあります。

 ナイジェル氏も、オーストラリア空軍が求める次世代空中戦闘能力に対応する候補として「GCAP」だけでなく、アメリカのボーイング社による「F-47」の名前も挙げていました。つまり、オーストラリア空軍は「GCAP」一択というわけではなく、複数の選択肢を検討したうえで、今後の計画の進捗や政治的判断によって参加の有無を決めていくことになりそうです。

【翼大きくなっちゃった!】これが最新のGCAP完成後のイメージです(写真)

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雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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