機密のカタマリ 空自の最新鋭「空飛ぶレーダー」は“トイレ付き”確定!←なんで今までなかったの…?
自衛隊が運用する最新の早期警戒機E-2D「ホークアイ」。かねて“トイレとギャレーがある”と言われていましたが、初めてメーカーから明かされました。当たり前では、と思うかもしれませんが、この機種では決して当たり前ではなかったのです。
空自の最新鋭早期警戒機についてメーカーが説明
2025年4月1日、アメリカの総合防衛企業であるノースロップ・グラマンが、東京都内で日本のメディア向けのブリーフィング(説明会)を開催しました。このブリーフィングでは、自衛隊が採用したノースロップ・グラマンの製品と、今後自衛隊に採用される可能性がある製品について、同社の担当者から詳細な説明が行われました。

説明された製品の中には航空自衛隊が運用しているE-2D「ホークアイ」早期警戒機が含まれていたのですが、筆者は説明用に配布されたE-2Dの資料に書かれていた「トイレとギャレー(調理設備)が追加された航空自衛隊向けE-2Dは乗員の負担を軽減」という文言に目を留めました。
これは筆者の知る限り、航空自衛隊のE-2Dにトイレと簡易型ギャレーが設置されていることを確認できる、初の公的資料なのではないかと思います。
E-2シリーズは空母艦載機として開発されたため、出来る限り機体をコンパクトにまとめて、機内に大型の電子機器を置く事が求められました。このためアメリカ海軍や航空自衛隊などが運用するE-2Cにはトイレやギャレーを設置するスペースが無く、搭乗員が便意や尿意を催した時には、携帯トイレに頼らざるを得ませんでした。
E-2シリーズの最新仕様機であるE-2Dは、搭載する電子機器の小型化によってE-2Cに比べて機内スペースに余裕が生じています。アメリカ海軍のE-2Dはこのスペースに、空母艦載機として運用するために必要な機器を搭載していますが、ノースロップ・グラマンは陸上の基地から運用される輸出仕様機に関しては、艦載機としての運用に必要な機器を撤去して生じたスペースに、トイレと電子レンジや温冷蔵庫などを設置した簡易型のギャレーとするオプションを設定していました。
政府と防衛省は2013年12月に閣議決定された中期防衛力整備計画で、南西方面の警戒監視能力を強化するため新型早期警戒機を導入する方針を打ち出しました。この新型早期警戒機の座は、E-2Dと、ボーイング737旅客機をベースに開発されたE-7A「ウェッジテイル」によって争われ、E-2Dがその座を射止めています。
筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は、新型早期警戒機の機種選定が行われていた2014(平成26)年ごろから、ノースロップ・グラマンがE-2Dを防衛省・航空自衛隊に対して行った提案の中に、トイレと簡易型ギャレーを設置するオプションが含まれていたことと、防衛省・航空自衛隊がE-2Dを採用するにあたって、そのオプションを行使したことは知っていました。
しかし、E-2Dを含めた早期警戒機やE-767早期警戒管制機は機密度が高く、機内とその写真の公開はほとんど行われず、防衛省・航空自衛隊も特に発表していません。E-2Dの機内にトイレと簡易型ギャレーが設置されていることを公的な手段で確認することはできないでいたのです。
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