55年前&現在の万博周辺の鉄道 「消滅した2路線」の痕跡はどこに? 大阪で空撮

大阪では1970年の大阪万博、1990年の「花の万博」、そして2025年4月の大阪・関西万博と、計3回の万博が開催されています。大阪万博と大阪・関西万博、これら2地点の会場周辺の鉄道を空から見てみます

2つの臨時駅 いまはどうなっている?

 また大阪万博のアクセス鉄道として、北大阪急行の線路が現在の千里中央駅(大阪府豊中市)手前で右へカーブし、「太陽の塔」の前にあった万国博中央口駅へ達していました。こちらも万博終了後に線路が撤去され、跡地は中国自動車道へと変貌。千里ICの地下には右へカーブしたトンネルが残されています。

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手前のかまぼこ状の白い屋根が大阪メトロ中央線の夢洲駅。そのすぐ先に、大阪・関西万博入場口の東ゲートが構えている(2025年4月、吉永陽一撮影)

 万博記念公園の西側には、阪急千里線の線路が近接しています。大阪中央環状線道路を越えた先の府道・千里けやき通り北側の築堤には、大阪万博開催中の臨時駅、万国博西口駅がありました。仮駅構造であったため、これまた現在は跡形もありません。

 さて、次は大阪・関西万博の会場上空へ。夢洲は1990年代に造成が開始され、夢洲大橋と海底トンネルである夢咲トンネル開通によってコンテナターミナルが整備されました。夢咲トンネルは沈埋函を沈める沈埋工法によって、2009(平成21)年に竣工。道路だけでなく鉄道も考慮されており、沈埋函は上下線別の道路が鉄道を挟む断面構造となっていました。当初より、大阪メトロ中央線コスモスクエア駅から夢洲への延伸を見据えたものでした。

 工事は夢咲トンネル前後のアプローチ部分と夢洲駅部分を実施し、2023年にトンネル工事が完了。駅は2025年1月に開業しました。駅は東ゲートに面しており、カマボコ状の大きな屋根が特徴となっています。

 夢洲は地下駅です。上空からでは全く姿が見えませんが、中央線の朝潮橋駅付近にて、シルバーボディに緑と青の縦線がアクセントとなった400系電車に出会いました。20系電車の置き換えと大阪・関西万博輸送を目的に投入された、大阪メトロの新型車です。正面は斬新な八角系スタイルで近未来さを連想させますが、これは宇宙船をイメージしたためです。

 アクセス鉄道となる中央線はピーク時に2分30秒間隔で運行されるとのことで、空撮していても前の電車に接近し徐行運転する光景に出くわしました。大阪・関西万博はまだ開催したばかり。大阪港一帯はしばらく大混雑しそうですね。

幻の廃線跡を空から ‘70大阪万博の会場周辺(写真)

Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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