人がいると、ガクガクブルブル… 中型バス初の「レベル4」自動運転 人手不足の救世主という理想と“現実”
茨城県で中型バスとして国内初となる「レベル4」の自動運転の営業運行が実施されています。運転手不足の解決策になると期待されている技術ですが、乗車すると人の運転とは「明らかな違い」がありました。
軌道に乗せるための「3つの課題」
浅井さんは「ひたちBRT」の自動運転について「富士山で言えば3合目に到達したぐらいだ」と話し、2025年度には次の段階として「乗務員が車内にいない無人運転で走らせるのと、利用者が立って乗れるようにするのが大きな目標になる」と打ち明けました。
しかし、自動運転バスを軌道に乗せるのには3つの課題があります。
無人運転の開始後は日立南営業所に設置予定の制御室でバスなどの状況をモニターなどで監視するとともに、「警備員を沿道に配置し、トラブルが起きた場合にすぐに駆けつけて対応できるようにする」と言います。
ここに1つ目の課題があります。運転手不足の解決策として期待されるはずの自動運転技術なのに、昔の車掌も乗っていたバスのようにツーマン態勢に“逆戻り”することになるのです。
そう質問すると浅井さんは苦笑しながらも「確かに最初はツーマン態勢になりますが、自動運転バスを増やしていけば制御室の監視や、沿道の警備も1人で何台も対応できるようになって生産性が上がります」と説明しました。
2つ目は路線全体を自動運転で走らせることができるように、専用道ではない一般道にも対応させることです。ただし、他のクルマや歩行者などが頻繁に行き交う常陸多賀駅前などで安全性を万全にしつつ、効率的に運行する技術を確立するのは決して容易ではありません。
そして残る1つの課題が、高額な車両コストです。バス業界の関係者は「中型バスの新車は1台当たり2500万円程度だが、自動運転バスは7~10倍かかる」と打ち明けました。最高で1台2億5000万円もかかる計算です。現在は実証実験のために国が車両費を全額負担していますが、政府が2027年までに100か所以上での「レベル4」の自動運転実施を目指している中で“丸抱え”がいつまで続くのかは見通せません。
「富士山の山頂」までの道のりは依然長いものの、こうした課題を乗り越えて自動運転バスが普及すれば、地方での路線網維持にも活路が開けます。実用化の緒に就いた自動運転バスですが、いずれはベテランの運転手に引けを取らないハンドルさばきも可能になるのか行方に注目していきましょう。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。
「自動運転」が喧しいが、間違いの無い事実が一つ有る!
ソコを「疎か」にしてては間違いなく破綻する筈だ。
【自動運転車は非自動運転車の中に入って来る…】と云う事実。
愉しみだ。待たせてもらおう