道路公団民営化にある明暗 NEXCOに比べ難しい都市高速、その未来は

首都高、阪神高速は「売上より高い家賃」に? この先にある大きな懸念

 ところが高速道路保有機構は、首都高および阪神高速の料金収入(≒交通量)について、今後しばらく増加を続けることを予定しています。

 首都高は2030年度をピークに、現在に対して料金収入が32%増となり、貸付料は40%アップの年間2866億円が予定されています。この金額は、昨年度の年間料金収入(2555億円)を大きく上回るもの。つまり「家賃が売上より高い」ということになり、払えるはずがありません。阪神高速も、同じく2030年度には料金収入が現在の28%増と予定されています。

 NEXCO3社やJB本四高速の交通量は今後、ほぼ横這いのまま減少へ転じる計算なのに、首都高と阪神高速だけこのような右肩上がりが予定されているのは、まったく理解に苦しみます。いずれ見直さざるを得ないでしょう。

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2017年度中に東関東道、首都高湾岸線方面と常磐道、東北道方面が外環道で結ばれる予定(画像出典:国土交通省関東地方整備局)。

 ただ、高速道路会社に関する経営不安は、現在のところこの点だけ。低金利という追い風が続けば「家賃(貸付料)据え置き」のままでも、予定の期限(2065年度)までに冒頭に述べた「借金」の完済は可能と思われます。

【了】

Writer: 清水草一(首都高研究家)

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で、首都高研究家/交通ジャーナリストとして活動中。

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