道路公団民営化にある明暗 NEXCOに比べ難しい都市高速、その未来は
高速道路会社6社の平成28年3月期決算が発表されました。NEXCO3社は順調で道路公団の民営化は「大成功」といえそうですが、都市高速――首都高と阪神高速の将来には、大きな懸念がありそうです。
大成功だった道路公団の民営化 地域格差、是正すべき
高速道路会社6社(NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本、JB本四高速、首都高速道路、阪神高速道路)の平成28年3月期決算が2016年6月上旬、相次いで発表されました。
2005(平成17)年10月の道路4公団(日本道路公団、本州四国連絡橋公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団)民営化以来、高速道路各社は建設や管理コストの縮減などで経営の合理化を進め、いわゆる借金の返済(正確には高速道路保有機構への貸付料の納付)も順調に進んでいます。高速道路の借金を取りまとめている高速道路保有機構は、発足時には38兆円の債務を抱えていましたが、2015年度期首にはそれが29兆円にまで縮減しました。
かつて国鉄は、莫大な借金を抱えて分割民営化されました。うち返済不能と判断された25兆円を国鉄清算事業団が継承。現在も細々と税金(たばこ特別税および国債)で返済を続けており、2014年度末でもまだ約18兆円残っています。
対する高速道路保有機構は民営化後、順調に債務を返済しています。SAやPAなどにおける顧客サービスも確実に向上していますから、いまや、道路公団民営化が大成功だったことに異論をはさむ人は少ないでしょう。
特にNEXCO3社の経営状況は余裕たっぷりですから、今後は過疎路線の料金値下げという、地域間格差の是正策に積極的に取り組むべきだと個人的(清水草一:首都高研究家)には考えています。
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