道路公団民営化にある明暗 NEXCOに比べ難しい都市高速、その未来は

高速道路会社6社の平成28年3月期決算が発表されました。NEXCO3社は順調で道路公団の民営化は「大成功」といえそうですが、都市高速――首都高と阪神高速の将来には、大きな懸念がありそうです。

NEXCOに比べ運営が難しい首都高と阪神高速、そのワケ

 一方、首都高と阪神高速は、民営化後もかなりギリギリの経営が続くと私は予想していました。両会社とも、新規建設路線はトンネル構造が中心のため費用は莫大。交通密度が高いぶん老朽化も激しく、修繕費用もかさみます。NEXCO各社はSAやPAの売上を増加させる余地もありましたが、都市高速はそもそもSAやPAを設置するスペースが限られており、それも望めないからです。

 最大のネックは道路の老朽化でしたが、料金徴収期間を15年間延長したことで、当面の手当は問題なくなりました。経営自体は順調で、新規路線の開通効果もあり、特に首都高では渋滞緩和が顕著です。今年(2016年)4月から導入された首都圏における新料金は、「長距離が大幅に高くなる」という反対意見もありましたが、早くも渋滞緩和効果が現れ、利用者側の理解も進んでいるように思われます。近い将来、阪神地区にも同じような料金制度が導入されることになるでしょう。

 しかしこの新料金制度の導入で、首都高側は2億円の料金収入減少を予想しています。

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新料金制度の導入で上限料金が930円から1300円になった首都高(画像出典:首都高速道路)。

 今年度、新規に開通する予定の路線はないので、交通量の純増は望めません。新料金制度で上限料金は930円から1300円に値上げされましたが(普通車)、それ伴って長距離利用は減っています。

 さらに、首都圏の高速料金が一体化されたことで圏央道への迂回が増加。これらのことを勘案して、料金収入は微減という予想となったものと考えられます。

 2012年に首都高で距離別料金が導入されたとき、首都高の料金収入はほぼ横ばいでした。今回の新料金の導入も、首都高の収入増が目的ではなく、より公平で合理的な料金にし渋滞を緩和することが狙いだ、ということが理解できるかと思います。

 さらに2017年度中には外環道が東関東道、首都高湾岸線まで延伸開業する予定です(三郷南IC~高谷JCT)。こちらへ迂回するクルマが増加すれば、よりダイレクトに首都高の交通量は影響を受け、料金収入は微減となるでしょう。将来的にも、よほど景気が上向かない限り、首都高の料金収入は横ばいから減少傾向へと向かうと考えられます。

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