こっちのローカル線は「アウト」 理不尽に切られた廃線跡に残る“奇跡の光景”とは? 「セーフ」の区間はいま岐路に

大阪・関西万博期間中に利用者が増えるか“試されている”JR加古川線の末端区間。35年前、この区間は「セーフ」となり存続しましたが、引き換えに「アウト」となって廃止された区間を歩くと、並々ならぬ地元の思いが感じ取れました。

理不尽に切り捨てられた「思い」は今も

 廃止から35年がたった鍛冶屋線ですが、役割を終えた6駅のうち2つの駅舎が復元または現存し、走っていた車両が計3両保存され、随所で鍛冶屋線の軌跡を語り継いでいる地元の熱い思いは「奇跡」と呼べそうです。

 廃止前には沿線住民らの間で存続を求める機運が高まったものの、切り捨てられたのには理不尽な事情がありました。鍛冶屋線の1985年度の1日1km当たり輸送密度は1198人で、JR西日本発足初年度である87年度の加古川線野村(現・西脇市)~谷川間の1131人をやや上回っていました。

 しかしながら、国鉄の赤字ローカル線の存廃決定は線区ではなく、路線ごとに検討されました。このため、“加古川線”に含まれていた野村~谷川間は「セーフ」、鍛冶屋線は「アウト」と判定され、明暗が分かれたのです。

 鍛冶屋線と同じように、加古川線を幹として枝のように延びていた支線の高砂線(加古川-高砂港)、三木線(厄神-三木)、北条線(粟生-北条町)も明暗が分かれました。高砂線は1984年に廃止、三木線と北条線は85年に兵庫県などが出資する第三セクターの三木鉄道と北条鉄道へそれぞれ引き継がれています。その後、三木鉄道は2008年に廃止されました。

 こうしたなかで鍛冶屋線も第三セクター鉄道に転換する案も浮上したものの、兵庫県関係者は「三木鉄道、北条鉄道の運行で苦労していたので及び腰だったと聞いた」と話します。

 歩いて気になったのは、沿線地域の商店街が「シャッター街」になっていたことです。もしも地元の熱意が実り、鍛冶屋線が残っていれば景色が違っていたかもしれないと考えさせられました。

【理不尽にも「アウト」】廃線に残る“奇跡の光景”(地図/写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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