「飲酒運転でした」日本郵便が謝罪 でも法的には責任ナシ!? 運送業界で郵便バイクが抱える“大矛盾” 国交省も認める

日本郵便がバイクで配達していた乗務員の「飲酒運転」を認め謝罪。基準値以下であっても、物流事業では業務中に呼気からアルコールが検知されないことが当たり前になっています。実は郵便バイクは、そうした法規制の対象外です。

国交省「助言レベルになる」の矛盾

 日本郵便の業務を一言で「集配」と言いますが、同じ業務でも、軽四輪や普通自動車で郵便物の収集を行う場合は、貨物自動車運送事業法の対象として、国土交通省による監査が実施されます。

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新宿郵便局(中島みなみ撮影)。

 事実、全国の郵便局で配達員への法定の点呼が不適切に行われていた問題で、国土交通省は4月25日、貨物自動車運送事業法に基づく特別監査を実施しています。これは、今回のバイク乗務社員と同じようにアルコールを帯びた上での集配も視野に入っています。違反が確認されれば車両使用停止などの行政処分も予定されます。

 これに対して、原付バイクでの乗務には規制も監査もありません。そもそも、原付のナンバープレートには緑ナンバーがないのです。

 バイク乗務員の在籍する新宿郵便局にはバイクで集配を行う社員が約160人在籍しています。日本郵便全体では所有する郵便バイクは約8万2000台(2022年4月総務省資料)。問題の乗務員が乗車するバイクは排気量110ccの原付2種でしたが、最近は原付免許で運転するバイクより、自動二輪免許で運転するバイクが増えています。

 法律を担当する国土交通省物流・自動車局も「全体の管理体制をチェックする中で問題があったとしても、それは指導レベルでなく、助言レベルになる」(安全政策課)ことを認めます。

 一方で、同法はバイク便のように126cc以上のバイクを使う場合には、別の条文によってバイクであっても規制対象としており、バイク便事業では緑ナンバーのバイクが必要です。では、なぜ日本郵便が使う原付バイクには、緑ナンバーの設定が不要なのか。自転車でも飲酒運転の厳罰化が行われる中で、国交省が担当する法律の整合性が問われています。

【はっ…?】これが郵便車両の“大矛盾”ポイントです(写真)

Writer:

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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