なぜ空自「F-35乗り」がグアムで汗水垂らして土いじり!? 日本人なら忘れちゃいけない“戦争の記憶”

グアム島に共同訓練で訪れた航空自衛隊の隊員たちが、休日にボランティア清掃をしていました。そこは太平洋戦争中に日本が司令部壕を個受けていた場所です。慰霊公苑の整備をする彼らを取材しました。

自衛隊による清掃作業、そのきっかけは?

 2025年現在、グアム島の慰霊公苑はボランティアスタッフが月数回の清掃を行い、管理していますが、敷地が広いため十分な作業ができないとのこと。とくに、太平洋戦争当時の司令部壕や貯水池が残る場所は密林の中にあるため落ち葉や倒木が散乱しており、本来であれば大人数での作業が必要なほどです。

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南太平洋戦没者慰霊公苑に清掃と献花で訪れた航空自衛隊の隊員たち。共同訓練「コープノース25」に参加するためにグアムに訪れた(布留川 司撮影)。

 筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)も清掃作業が行われる前日に、この場所を訪れましたが、通路を塞ぐように竹が倒れており見学を諦めたほどでした。

 今回の清掃作業には、前述したように200人を超える自衛官が参加しましたが、その数はこれまで自衛官が行ってきた清掃作業のなかでは最多の人数になるそうです。

 その結果、苑内は驚くほどキレイになっており、特に司令部壕周辺は清掃というよりも整備と言えるほどでした。これは参加人数の多さだけでなく、集団行動を原則とする自衛官ならではで、清掃のような作業でも、集団としての能力が遺憾なく発揮された証左だといえるでしょう。

 隊員たちがこの場所に留まったのは2時間程度で、清掃作業は実質1時間ほどでした。しかし、清掃作業でも部隊・班単位で行動して、同時進行で作業を分担しながら実施。さらに、軍手やゴミ袋などの清掃用具だけでなく、蚊取り線香や熱中症対策の飲料水まで準備していました。

 今回の清掃作業は個々人のボランティア参加ですが、事前準備と人員統制がしっかりと取れており、その様子は傍から見ていても任務の一環に思えたほどでした。また、作業を終えると、参加隊員は慰霊塔前に整列して黙祷を行い、ひとりひとりが献花をしていました。

 今年(2025年)は、太平洋戦争が終結してから80年の節目の年です。当時を知る人々は年を追うごとに少なくなっており、その歴史を後世に伝えるためにもこのような追悼施設を維持することは重要なことです。戦争を知らないのは自衛官も同様です。祖国防衛の担い手である彼らが、慰霊公苑の清掃という形で過去の歴史に触れているというのは、もっと知られてもよいのかもしれません。

【画像】演習中ではありません! 汗水たらして草木引っこ抜く空自隊員たち

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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