広島の路面電車を貸し切ったら「とんでもなく貴重な車両」だった! 電停すべて通過の快感! 料金は“飲み代より安い!?”
電車の貸切って聞くとハードルが高そうですが、実は思いのほかリーズナブル。特に路面電車は気軽に借りることができるようです。そこで今回は、広電を貸し切り、特有の特別感を味わってきました。
ゴールは市街地ど真ん中!
651号は銀山町・八丁堀などの繁華街を進み、「紙屋町東」電停を超えると左折して1号線のルートに。中国地方で最大規模を誇る繁華街の紙屋町、そして広島本通商店街のにぎわいを眺めつつ651号は南下します。

中国電力本社があることから名付けられた「中電前」電停、広島市役所・中区役所に近い「市役所前」電停、高い放射線障害の治療ノウハウを持つ広島赤十字・原爆病院の最寄り電停である「日赤病院前」などを通過すると、左側には広電の中心拠点「千田(せんだ)車庫」と広電の本社が見えてきます。
すると651号は広電本社眼前にある「広電本社前」電停に停車しました。これにて貸切運転は終了です。651号は参加者を下ろすと、いったん宇品方面に少しだけ走って折り返し、広島駅方面に転線。さらに渡り線を用いて千田車庫へと帰っていきました。
貸切料金は飲み代より全然安い!?
突然ですが、ここで問題です。この運転(市内線での1行程)はいったいいくらで貸し切ることができたでしょうか。
正解は2万3040円。宮島線での貸切および市内~宮島線での長距離利用でも、連接車を使って4万3200円ですので、思った以上に安いと思います。市内線貸切なら、2人で借りて割り勘すれば1万1520円、20人ならなんと1152円で路面電車を貸し切れるのです。今回の貸切運転も一人当たり2000円台で済みました。
時間にして約30分のショート・ツアーですが、車内は自由に動き回れて、大きな声での会話も自由、そして電停はすべて通過という非日常的な電車の乗り方ができ、実に充実・濃密な時間を過ごせたことを思うと、とてもリーズナブルな料金設定に感じられました。
広電では、路面電車の貸切利用について、曜日を問わず10時~16時の間で申し込むことが可能、ただし土休日はイベントなどが重なった場合に受付不可の場合もある、と説明しています。申し込み方法は「ひろでんコールセンター」に、運転希望日の2週間前までに電話にて行います。
日常では味わえない、バスやクルマよりもずっと大きな路面電車を貸し切るという特別感。それを仲間と一緒に気軽・安価に楽しめるのは大いに魅力的でした。他にも、よりリーズナブルな利用料金を掲げている鉄道事業者があるので、興味があればぜひ調べてみてはいかがでしょうか。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれの自動車・鉄道系イラストレーター/ライター。雑誌、WEB媒体で連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。クルマは商用車や実用車、鉄道ではナローゲージや貨物、通勤電車、路面電車、地方私鉄などを好む。
コメント