日本軍の特攻兵器「桜花」の格納庫が嘉手納基地内に!? 県内唯一の施設がココにあったワケ
嘉手納基地には実は旧日本軍の特攻兵器「桜花」を隠した格納庫があります。なぜここにあるのでしょうか。基地協力のもと、その施設を見てきました。
立入禁止だけど実は「保存状態はヨシ?」
嘉手納基地内に残る掩体壕は、計8基とされています。今回見ることができたのは基地内を東西に貫くダグラス通りの南東にあり原型を残すものが3基、基礎部分らしきものが1基でした。大きさは幅が約7.4m、奥行きは14m、中央部の高さは2.8mとのこと。土石を盛って上にコンクリートを流して固め、その後に土砂を取り出して完成させたと考えられています。コンクリートの壁と天井は厚さが40~50cmあり、木枠の板目跡が大きく残る荒い仕上げの表面は急造仕立てであったことを今に残しています。
3基のうち2基は入り口に金網が張られ、もう1基は天井の崩落を防ぐため内部に土砂を詰めていることから、いずれも内部を細かく観察することはできませんでした。ただ、金網越しにのぞくと木材で組んだやぐらが天井を支えているのが見え、こちらも崩落防止が図られているのが分かりました。
日本側の調査にもあったように、掩体壕の保存状態は総じて良好でした。ただ、米空軍第18航空団の広報によると掩体壕は「基地の歴史的モニュメント保存計画の一部」になっているものの、「老朽化により修復作業が危険にさらされ、追加の損傷を引き起こす可能性もある」として修復の予定はないとしています。しかし、「現状を維持する形で掩体壕を積極的に保存し、さまざまな基地の部隊がボランティアで周囲の植生の世話をし、植物の成長による被害を防いでいる」としてもいます。
軍の施設内はどの国でも清掃が行き届いていますが、桜花の掩体壕も周辺は確かにきれいに草が刈り取られていました。立地上日本人は容易に見ることができないものの、沖縄線を語り継いでいく証人として掩体壕が保存されていくことを願います。
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
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