中国の脅威念頭に「“よ~く見える”新型レーダー」開発へ 国産だけど“日米タッグ” これぞ“民の日米同盟”の象徴!?
海上自衛隊の主力戦闘艦艇である汎用護衛艦。これまで、とくにその防空能力は限定的でしたが、中国の脅威などを踏まえて将来の汎用護衛艦用に新型の高性能レーダーが開発されることに。これについて新たな情報が判明しました。
アメリカの大手企業がまさかのタッグ
筆者がアメリカの大手防衛関連メーカーであるレイセオンのブリーフィングに参加していた時のこと。レイセオンは、同社製の最新鋭艦載レーダーである「SPY-6」について、近年三菱電機との間で一部コンポーネントの製造に関する協業契約を結ぶなど、連携を強化していることで知られています。そして、このSPY-6はSバンドを用いるレーダーでもあります。

そこで、筆者はレイセオンでSPY-6を担当しているジョン・トビン氏(SPY-6 インターナショナル事業開発 ネイバルパワー)に、「三菱電機との間で将来護衛艦用のレーダーに関する協力の計画はあるでしょうか?」と質問しました。すると、トビン氏は次のように答えたのです。
「答えはイエスです。我々はすでに三菱電機との間でSバンドレーダーの開発協力に関する技術援助契約(TAA)を結んでいます。これに基づき、弊社は1年半ほど前から三菱電機による開発を支援しています。ただし、これはSPY-6やその技術をそのまま三菱電機にお渡ししているわけではなく、あくまで同社自身によるSバンドレーダー開発を弊社が支援しているということです」
海上自衛隊の艦艇が搭載する次世代レーダーについて、日米企業がタッグを組んで開発を進めているというのは、日米同盟が政治や軍事の当事者間のみならず、民間企業の間においても大きく進展してきているということを表しているといえるのかもしれません。
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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