自衛隊の“新顔輸送艇”コンセプト初公開 「それに“火力”付けられるよ」 離島防衛の“使えるセット”もはや完成!?
千葉県の幕張メッセで開催された日本最大の防衛装備品展示会「DSEI Japan」にて、日本の大手造船メーカーであるJMUが展示した自衛隊向けの新型輸送艇。じつは、別の企業がこれに熱視線を向けているとの情報をキャッチしました。
必要な火力を提供できる「コンテナ型迫撃砲」とは
仮に隻数増加が実現した暁には、陸上自衛隊唯一の離島防衛専門部隊である水陸機動団を密接に支援すべく、その一部を同団専用の上陸用舟艇として運用することを期待する声も聞こえてきます。そうなった場合、機動舟艇には単なる輸送任務だけではなく、別の役割が与えられることになるかもしれません。それが、着上陸時の火力支援です。

じつは、それと関連し得る話題を、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)はDSEI Japanの会場で耳にしました。それは、フィンランドの大手防衛関連企業であるパトリアのブースにて、同社が展示していた迫撃砲システム「NEMOコンテナ」の取材をしていた時のことです。
NEMOコンテナは、120mm迫撃砲を射撃管制装置や給弾システムごとコンテナに収めたもので、3~4名で運用することが可能です。間接照準射撃はもちろん、搭載する光学・赤外線センサーにより直接照準射撃を行うこともできます。
また、デジタル化された射撃管制装置により、目標を正確に狙えることはもとより、発射角度などを調整することで複数の砲弾を同時に命中させる「同時弾着射撃」ができることも謳われています。
このNEMOコンテナは、艦艇に搭載することも可能だといいます。そこで、筆者は機動舟艇への搭載も可能かを尋ねたところ、その答えは「イエス」でした。というのも、NEMOコンテナはすでに同様の舟艇への搭載実績があるためです。
2018(平成30)年、バルト海においてスウェーデン海軍のトロスボート級揚陸艇の甲板にNEMOコンテナを搭載し、実際に地上目標を攻撃するデモンストレーションが行われました。この時、NEMOコンテナは波で動揺する甲板上から同時弾着射撃を含む複数の実弾射撃を実施し、一定の成果を収めたといいます。
離島防衛を考えた場合、りゅう弾砲などを運び込むには小さい規模の島において戦闘が起きる可能性もあります。また、上陸部隊を掩護するための火力提供を、海上自衛隊の護衛艦が搭載する5インチ砲や航空自衛隊の戦闘機による航空攻撃にのみ依存しては、作戦実施が困難にもなり得るでしょう。そこで、コンテナ型迫撃砲を必要に応じて機動舟艇に搭載することにより、そうした課題を解決できるかもしれません。
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