自衛隊の「顔」車両は“トルコ製いかが!?” コマツ撤退で国内開発× 決まらない後継選定に世界が熱視線

DSEI Japan 2025にトルコの装甲車メーカー2社が出展。コマツが撤退した装甲戦闘車両の後継選びをにらんだ動きと考えられます。日本には馴染みが薄く、一度は選から漏れたトルコ製車両ですが、今回は選ばれようとする気概も感じられました。

「仕切り直し」されたコマツ撤退後の後継車両選び

 2025年5月21日から23日に千葉県の幕張メッセで開催された大規模な防衛・安全保障イベント「DSEI Japan 2025」に、トルコの装甲車メーカー「オトカ」と「ヌロルマキナ」が出展しました。

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陸上自衛隊の軽装甲機動車。後継車両が決まっていない(画像:陸上自衛隊)。

 DSEI Japan はアジア太平洋地域をはじめとする世界各国から、軍や法執行機関などの要人が多数訪れるイベントです。オトカとヌロルマキナは日本での知名度こそ高くありませんが、両社の製品は開発国のトルコだけでなく、世界で広く採用されています。また両社は海外で開催されている防衛装備展示会にも参加していますので、DSEI Japanを世界各国に対する自社製品のアピールの場として選択したとしても、不思議なことではありません。

 ただ、両社のDSEI Japan 2025への出展には、世界各国に対するアピールに加えて、陸上自衛隊の軽装甲機動車の後継選定コンペへの参入をにらんだ、防衛省・陸上自衛隊へのアピールという狙いもあったのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 軽装甲機動車は航空自衛隊の調達分を含めると2000両近くが生産された、自衛隊の「顔」あるいはワークホースとでも言うべき装甲車です。

 これまで日本は、装甲戦闘車両は基本的に国内で開発してきましたので、順当に行けば軽装甲機動車の後継車両も国内開発が有力視されていましたが、同車の開発と生産を手がけてきた小松製作所が、装甲車両の新規開発・製造事業から撤退したため、国内開発が事実上困難となりました。

 そこで防衛省は外国メーカーが開発した車両を導入する方針を定め、防衛装備庁は2022年3月にタレス・オーストラリアの「ハウケイ」(ホークアイ)と、スイスのモワーグの「イーグル」を最終候補に選定。試験車両を調達して試験を行っていました。しかし、それも仕切り直しとなった模様です。

 試験品の調達にまで駒を進めた防衛装備品の選定が仕切り直されるのはあまり例がありません。防衛装備庁と陸上幕僚監部が理由を明確にしていないため、真意は筆者にもわかりませんが、ハウケイとイーグルは価格が高すぎて、大量調達が困難になったという話が漏れ伝わってきます。また、ハウケイは信頼性の低さを度々オーストラリア政府から指摘されていましたので、その点も不利な要素となったのかもしれません。

【よさそう?】これが自衛隊の「顔」になるかもしれない「トルコ製車両」です(写真)

日本唯一の防衛展示会「DSEI Japan 2025」

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