ビックリ記録「川幅日本一」をまたぐ県道! 広すぎる…けど景色がフツーすぎる! 一体どういうことなのか?
「川幅日本一」の標柱が立つ県道が埼玉県に存在。しかし、走ってみるとフツーに家が建っていて、バス停まであり、「川はどこ?」状態です。どういうことなのでしょうか。
川幅日本一が本当に効果を発揮した時
吉見町側、鴻巣市側にそれぞれ立てられた標には、「川幅日本一」の文字のほかに、川幅についての“注意書き”が貼付されています。

その注意書きにはまず、実際の川幅日本一はこの標よりも数百m上流側であることが記されています。しかし水をたたえた荒川の川幅がその数百mで一気に広がるわけではありません。じつは重要なのはその下に「※」付きで案内される、距離測定の基準です。
ここで示された川幅は「荒川左右岸の計画高水位での堤防間の距離」と説明されています。
計画高水位(けいかくこうすいい)とは、川の堤防工事などの基準となるもので、堤防が耐えられる最高の水位を指します。そして実際の堤防の高さは、この計画高水位からさらに余裕を持たせ築かれるのが一般的です。
ちなみに計画高水位よりさらに低いところに、関係防災組織が水害に備え警戒にあたる「警戒水位」、もう一段低いところに関係防災組織が待機する「指定水位(通報水位)」があります。
つまりこの区間の川幅日本一は、洪水の危険が高まるギリギリまで川の流量が増えたときの川幅を基準とし、その数値を示しているというわけなのです。
では、ふだん約30mの荒川の川幅が、実際に2500mまで広がることはあるのでしょうか。
近年では、2019年の台風19号による豪雨で、この地域の荒川が増水し、一面が広大な湖のようになりました。堤防の間にある集落も、土地の低い部分では水害に見舞われた模様です。
その水は県道27号東松山鴻巣線を洗う高さには上がってきませんでしたが、このとき水を被った河川敷の田園地帯では、川幅は「2000m」を上回るレベルまでは広がったのではないかと思われます。そういう意味では「川幅日本一」は、想定される最大幅としてはあながち間違いではなかったとも言えます。
吉見町と鴻巣市、幅2500m超を隔てる両岸の堤防は一見オーバースペックにも思えますが、もしもっと狭い河道(川の水が流れる部分で、つねに水が流れる「低水路」と高水時のみ流れる「高水敷」を含む)を想定して設計していたのであれば、川の水は堤防を越えて氾濫し、大きな被害が出ていたことでしょう。
なお荒川では、洪水に対してさらなる安全マージンを持たせるため、さいたま市、川越市、上尾市にまたがる「荒川第二・第三調整池」の建設が進められています。この工事が完了すれば、中流域から下流域にかけての治水安全度が大きく向上することになるはずです。
Writer: 植村祐介(ライター&プランナー)
1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。
首都圏では雄大な地形だけれど
利根川水系が太平洋に注ぐあたりはどうなん?
なお、アメリカのコロラド、ミシシッピ水系だと、見渡せるスケールが数十キロになりますけどね
利根川水系の場合は利根川河口堰がありそこで水位調整をしてる。主に利水事業だが管理者は水資源機構のダム管理部門。
また那珂川方面や江戸川方面へ導水したり水の逃げ道が多いのでそこまで神経質になる必要はなく、荒川の場合は行き先が都心だが利根川の場合は銚子・神栖なので中流域で水量をコントロールせずとも素直に流れやすい。
因みに荒川も西遷させて造った人工河川だが利根川も東遷事業で造った人工河川。