「リオ五輪」開会式の飛行機、その正体は? ライト兄弟の代わりに教科書へ載ったかもしれないブラジル人
2016年8月にブラジルで開催された「リオ五輪」。その開会式に、ある古めかしい飛行機が登場しました。「飛行機の発明」といえばアメリカ人のライト兄弟ですが、実は、あるブラジル人も飛行機を“発明”しているのです。しかし、「飛行機の父」ともいわれるそのブラジル人を待っていたのは、過酷な運命でした。
「飛行機」はブラジル人が発明した?
2016年8月5日(日本時間8月6日)に開幕した「リオデジャネイロオリンピック」。その開会式の序盤、ひげを蓄えた紳士が一風変わった飛行機に乗って離陸、ワイヤーにつるされ、場内をゆっくり上昇していく様子、見た人は少なくないでしょう。
この「ひげの紳士」は、19世紀から20世紀初頭を生きたフランス系ブラジル人、アルベルト・サントス・デュモン。開会式に登場した「14bis(14号の意)」と呼ばれる飛行機を開発した人物です。
日本において、デュモンの知名度は決して高いとはいえません。しかし、あとほんの少しだけ“歴史の歯車”が食い違っていたならば、世界中の教科書に記され、日本においても知らない人はいない偉人になっていたことでしょう。
現在、デュモンに代わり教科書へ記されているのは、ウィルバー・ライトとオービル・ライトというふたりのアメリカ人、すなわち「ライト兄弟」です。デュモンは「ライト兄弟の次に飛行機を発明した人物」なのです。
デュモンは1906(明治39)年9月13日、フランスのパリ郊外において「14bis」の初飛行を実施し、飛行機の“発明”に成功します。しかし彼の“発明”は、史上初ではありませんでした。すでにライト兄弟が1903(明治36)年12月17日、彼らの飛行機「フライヤー」号によって、飛行に成功していたのです。
「発明」とは、三省堂『大辞林 第三版』によると「それまで世になかった新しいものを、考え出したり作り出したりすること」。そう考えると、デュモンの実績を「発明」と表現するのは、適切ではないと思うかもしれません。
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