「イスラエルの最新ステルス戦闘機を撃墜! 画像あるよ」←胡散臭いんだけど本当か?

イスラエルが突如としてイランに対し航空攻撃を仕掛けました。それに対し、イランは反撃。そのなかで最新のステルス戦闘機を撃墜したと報道しました。ただ、この画像をよく見ると、どうも胡散臭いのです。

自国民に向けての正当化だった可能性も

 仮にF-35が本当に撃墜されていたのであれば、イラン当局はその残骸の一部だけでも誇示したに違いありません。それがなく出所不明のAI画像しか出せないということは、撃墜という主張自体が極めて怪しいと言えるでしょう。

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イスラエル空軍のF-35戦闘機(画像:イスラエル空軍)。

 とうぜん、理論上F-35が無敵というわけではありません。高度なステルス性能を有していても、古い地対空ミサイルに撃墜されてしまった前述のF-117の例もあります。イスラエル空軍のF-35は、1999年当時のF-117と比べて戦術データリンクや電子戦能力において段違いに優れており、対空兵器の脅威に対しては複数の手段で回避・妨害措置が講じられています。ただ、そうは言っても敵の防空網から100%逃れられるわけではないため、被撃墜のリスクは常にあります。

 今回の事案において、F-35が撃墜されたとの発表は、戦術的な意味よりも政治的な意図が先行した情報戦の一環として見るべきかもしれません。イラン側は、イスラエル空軍の作戦によって自国が被った戦略的損失に対する国民への言い訳(自己の正当化)が必要であり、そのために、敵(イスラエル)を象徴する兵器といえるF-35を撃墜したという「勝利神話」が喧伝されたとみるべきかもしれません。

 これらを鑑みると、今回のケースは逆に、イランがF-35について大きな脅威として捉えていることの証左だと言えるのではないでしょうか。

 結論として、イスラエル空軍のF-35が撃墜されたというイランの主張は、物証の欠如、AI生成画像という低信頼の「証拠」、そして過去の実証済み撃墜事例との対比を行うことで、信憑性を著しく欠いています。確かに第5世代戦闘機が実戦で撃墜される日は、いつか来るでしょう。しかし、その日は2025年6月13日ではなかった模様です。

 ちなみに、イスラエルが放った先制攻撃は、その後イランが報復攻撃を行ったことで、終わりの見えない負の連鎖が続くかと思われましたが、11日後の6月24日、突如として両国は停戦に合意しています。戦いが終われば、本当にF-35Aが撃墜されたのか明白になるかもしれません。

【博物館で展示中!】撃墜された米ステルス機の残骸です(写真)

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