ここまで「無人駅」になってしまったか… 特急も発車する北海道「先っちょの超重要駅」寂しい今
室蘭駅は、北海道の鉄道の栄枯盛衰を象徴する駅です。室蘭港にほど近いことから、かつては海陸交通の要衝として発展しました。現在も室蘭本線の運行上の起終点として特急列車も発着する駅ですが、2024年に無人化されています。
「話せる券売機」が入り、駅員が消えた
室蘭駅の衰退は止まることなく、2017(平成29)年に駅弁の販売を終了し、2020年には売店も閉店。そして2024年に「みどりの窓口」が営業終了したうえで、「話せる券売機」が設置されて、無人駅となったのです。

室蘭駅は人口7.4万人の室蘭市の中心地にあり、駅近辺には行政機関や文化施設が集まる立地です。特急列車の始発駅として、2023年でも1日521人の乗車人員がありました。それでも無人化されるところに、JR北海道の経営状態の厳しさが伺えます。
筆者は、苫小牧16時57分発の特急「すずらん8号」で室蘭に向かいました。17時36分に東室蘭駅へ到着。2面4線の大きな駅で、すべての特急列車が停車します。乗車人員も2019年で1833人と室蘭駅の約3倍であり、こちらが室蘭市の中心とも感じられました。
そこから13分走り、室蘭駅には17時49分着。1面2線の頭端式ホームです。駅員はいないものの、特急始発駅なので清掃と座席転換の作業員がいるところが印象的でした。
ホームから長い通路を歩くと、かつての改札口があった場所にたどり着きます。駅舎内は天井が高く、瀟洒(しょうしゃ)な造りです。かつて「みどりの窓口」があった場所はシャッターが閉まり、自動券売機も1台しかありません。
23本の列車の始発駅であり、6?9時、16時、18時台は1時間に2本の列車が設定されているなど、現在でも相応の需要はあると考えられます。しかし、「すずらん8号」から降りた乗客はすぐにいなくなり、静かになった駅に佇んでいると、北海道の鉄道の今を示しているようにも感じられました。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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