安っぽい?「樹脂バンパー」を世界で初めて前後装着して衝撃を与えたクルマとは?
フランスのルノーが1972年に送り出したルノー・5は、世界初の前後樹脂製バンパーを装備したコンパクトカーとして欧州市場を席巻し、累計900万台を出荷した伝説の名車です。後のクルマにも大きな影響を与えています。
ルノーのメインユーザーを一新させたルノー・5
フランスのルノーは1960年代に、ルノー・4(キャトル)を大ヒットさせました。フルモデルチェンジがない量産車としてはフォルクスワーゲン(VW)・タイプ1(ビートル)、フォード・モデルTと並ぶ世界有数の販売台数を誇り、言わば「フランス車としては最もよく知られたモデル」でした。

このルノー・4の前輪駆動の縦置エンジンやレイアウトをそのまま引き継いで開発されたのが1972年登場のルノー・5です。世界初の樹脂製バンパー(強化ポリエステル)を前後に装備した3ドアハッチバック車で、コンパクトな実用モデルとして人気を集め、欧州のコンパクトカー市場を席巻。世界各国に累計900万台も出荷を果たしたという伝説の名車です。
ルノー・5の直線を基調としながらもエッジが丸い、いかにもフランス的なボディデザインは、鮮やかなカラーリングやバリエーションと合わせて「都市部・田園部のロケーションを問わず乗れる」として高評価。特に女性や若者ユーザーを多く引き寄せることとなり、壮年男性がメイン顧客だったルノーユーザーを一新させるきっかけにもなりました。
特徴だった前後の樹脂製バンパーは、柔軟性があり、軽微な衝突では元の形状に戻る性質を持ちます。製造コストも修理コストも下げられるうえ、車両の軽量化などのメリットも大。デザインと機能性を両立した手法として、その後のクルマに大きな影響を与えたと言われます。
初代モデルは1985年まで、マイナーチェンジや、5ターボ、5アルピーヌといったスポーツスペックの派生モデルを加え続け、日本にも1976年より輸入され始めました。
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