日本唯一の「特殊な電車」ついに廃車 EVバスに代わったら“タブレット交換”が復活ってどういうこと!?

日本で最後となったトロリーバスが2025年7月上旬に廃車回送され、全て解体されることが分かりました。初の女性運転手が秘話も打ち明けました。

ディーゼルバス→トロリーバス→EVバスへ変化した半世紀

 立山黒部アルペンルートはほぼ全区間が中部山岳国立公園内にあり、環境保全が必要とされます。全線開通に伴って1971年に旅客輸送が始まった立山トンネルではディーゼルバスが当初使われていましたが、ディーゼルバスは走行中に出す排気ガスがトンネル内にこもるのが問題化しました。

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立山黒部貫光のEVバス(大塚圭一郎撮影)

 そこで1996年、走る時に排気ガスも二酸化炭素(CO2)も出さない優れた環境性能を持つトロリーバスに切り替わりました。同じ立山黒部アルペンルートで長野県側の関電トンネルを走るトロリーバスが2018年に運行を終了後、立山トンネルのものは「日本唯一のトロリーバス」となりました。

 しかし、車両が老朽化する中で「いろいろな問題が発生し、維持のための部品(確保)の関係もあって会社が限界だと判断した」(立山黒部貫光室堂運輸区の早川 忍技術長)。このため2024年に29年間の幕を下ろすことになりました。同じトロリーバスへの置き換えは製造費がかさむことなどから、関電トンネルと同じく走行中にCO2を出さないリチウムイオン電池を充電して走るEVバスに白羽の矢が立ちました。

 導入されたのは中国の電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)の大型EVバス「E8」。トロリーバスと同じく8台を入れ、車体側面にはそれぞれ異なる装飾を施しています。うち1―5号車は車体後方に室堂平、みくりが池といったルート上の景勝地の写真で彩り、6―8号車には富山県を舞台にしたアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』の登場キャラクターらが描かれています。

 山本さんは「(運転手を含めた)定員は80人と、トロリーバスの73人より7人多くなり、乗降口がすごく低くなって車いすのお客様用にスロープを出せるようになった」と利点を指摘しました。全長は10.5mとトロリーバスより58cm短く、(前後のタイヤの中心間の)ホイールベースも短くなったため「小回りが利く」と運転上の変化も話します。

 もちろんEVバスは架線の代わりに充電が必要ですが、「フル充電の状態で250kmほど走ることができ、立山トンネルならば約35往復できる計算です」と山本さん。「フル充電から1日走ると残りは50%ぐらいになり、営業終了後に翌日の運行のために充電器で充電しています」と説明しました。

【見たことある!?】これがEVバス化で復活した「通標(タブレット)」です!(写真)

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