“犯人ネット晒し”は序の口!? 「鉄道vs銅線ケーブル窃盗団」許さん! 対策高度化も“いたちごっこ”の泥沼に

欧州各地で鉄道の銅製ケーブルが盗まれ、列車の運行に影響が出る事態が相次いでいます。鉄道事業者はあらゆる手段を駆使して対策を進めていますが、犯行も“プロ集団化”が進んでおり、いたちごっこが続いています。

英国・ケーブル窃盗団との20年越しの闘い

 英国の鉄道の銅線窃盗は、実は20年以上前、2004年頃から増え始め(下院運輸委員会の発表資料による)、中国の台頭などで銅価格が歴史的高騰を記録した2011年度にピークを迎え、845件の盗難被害、盗難由来の列車の遅延は6000時間以上に達しました(ネットワーク・レール社による)。

 このため、2010年代から様々な対策が取られてきました。まず、2011年には鉄道警察の中にケーブル窃盗専門チームが設けられました。線路沿いの監視カメラを増やしたり、犯罪抑止につながる情報提供者には1000ポンド(約20万円)の報奨金を提供したりという措置も取られています。

 ネットワーク・レール社では、2011年から「セレクタDNA」というスプレーを同社のケーブルに塗布しています。スプレーした箇所をブルーライトで照らすと、一意の認識番号が浮かび上がる仕組みで、盗難ケーブルが金属回収業者に持ち込まれた時点で窃盗品だと分かるのです。また、ケーブルのそばにセレクタDNAの張り紙をすることで、窃盗団のやる気をそぐ効果も。

 盗まれた金属を買い取る金属回収業者にまつわる法整備も2013年に行われました。金属を持ち込む人間の身分証明書の確認の厳格化や、現金取引の禁止、違反に対する罰金の増額などが盛り込まれたのです。

 ケーブル泥棒の顔写真や氏名、刑期をネットワーク・レール社のサイトに晒(さら)す措置も取られています。例えば、2010年には、倉庫からケーブルのドラムを丸ごと4基、総額1万ポンド(約200万円)以上を盗んだ犯人、建設作業員のトニー・プライス(30)の写真と情報が掲示されています。

 こうした努力が功を奏して、2013年には銅線窃盗による遅延が2011年の半分以下の2700時間になるなど(英紙ガーディアンによる)、一定の効果が得られていました。

【これはひどい…】無残に刻まれた銅製ケーブル(写真)

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