「中国版オスプレイ」誕生か!? 実現なら“快挙”だし最強? スペックは超最先端…初飛行も迫る
中国のとある企業が、ヘリコプターと固定翼機のメリット両面を備えた「ティルトローター」機の国産化を進めています。すでに試作機が製作中のこのモデルにはどういった特徴があるのでしょうか。
目指すのは日本でも話題のアレ
R6000の外見は、V-22と特徴が似ています。長細い胴体の中央上部に主翼が設置され、その両端には3枚のブレードが着いたローターが備わっています。ローターは前方水平から真上の90度の範囲で可動します。V-22はエンジンがポッド式になっており、ローターとエンジンがセットで可動するようになっていますが、R6000ではエンジンは主翼端に固定されており、ローター部分だけが可動するローターアーム方式となっています。この方式は開発中のV-280でも採用されており、可動部分を少なくすることで軽量化と整備性の向上、それに地上での乗員の乗降や貨物の積み込みなど利便性の向上にも繋がります。

R6000の初飛行は2025年の夏頃を予定しており、最初に実用化されるのは、モデルパイロットによって操縦される貨物輸送機となりますが、その後は人員を輸送する旅客機型へと開発を進め、同時にパイロットを廃止して自動操縦による無人機化も目指しているといいます。
つまり、メーカーはR6000を有人のティルトローター機として開発しているのではなく、最終的には自動操縦による新しいモビリティーを目指しているのです。同社はそれを「Private Car in the Sky」と説明しており、これは日本で言うところの「空飛ぶクルマ」と同じコンセプトといえます。
「ユナイテッド・エアクラフト」は2012年に設立された会社ですが、最初に実用化したのは重量数キログラムの産業用ドローンでした。その後、より大型のドローンとして無人ヘリコプターTD550(最大離陸重量640kg)とT1400(最大離陸重量1.4t)を開発しています。つまり、同社は基本的に航空機メーカーではなく、無人機専門のメーカーになります。
R6000を最初に有人機として開発しているのは、自動操縦といった新しい技術の開発が必要であり、開発を段階的にすることで失敗のリスクを分散する狙いがあると見られます。
ティルトローター機は一般的な航空機と比べて開発が難しく、V-22やAW609もその開発は困難がともないました。このR6000も同様かもしれませんが、無人機専門の同社が目指す最終形態は、これまでのティルトローター機と異なるものであり、実用化されれば大きな注目を集めるのは間違いないでしょう。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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