「ゴキ」だの「ザリ」だのヒドすぎる… 不名誉なあだ名の方が“通りがいい”伝説のバイク、でもなぜ? 人気マンガで再注目
1980年に登場したスズキ初の4ストローク250ccモデルGSX250Eは、そのタンク形状から、かなり“不名誉なあだ名”で呼ばれました。しかしそれは、採算度外視の本格装備を備えた秀逸なモデルだった故かもしれません。
空力を極めた斬新デザインが「ゴキっぽかった」
当然、250ccモデルを好んだユーザーの間で人気を博し、1982年にはさらなる改良型のGSX250E KATANAをリリース。すでに大型クラスで人気だった輸出車として高評価を得ていたKATANAシリーズのデザインを踏襲し、空力学を極めたストリーム・フロー・ラインのスタイルに。このモデルもまた、「本来は大型車にのみつけられる機構を、250クラスにもできるだけ備える」という印象で、これまた多くのユーザーから支持を得るに至りました。

ただし、このモデルもまた自然発生的に「ゴキ」という呼称で呼ばれるようになりました。理由は、前述のストリーム・フロー・ラインを反映させたタンクの形状やカラーリングが、どうも「ゴキブリっぽい」ということでした。
今日では中古車店でも堂々と「ゴキ」の名で販売されることもあり、「本来の正式名称よりも『ゴキ』のほうが伝わりやすい」とも感じられる、スズキにとっては複雑であろう事態となっています。
なお、「ゴキ」は2017年から『週刊少年マガジン』で連載がスタートした大ヒット漫画「東京卍リベンジャーズ」にも登場し、近年再び注目を浴びるようになったモデルでもあります。
ただし、筆者個人からすると、初代のGSX250Eを凝視してもザリガニのようにはどうしても見えません。また、GSX250E KATANAもゴキブリのようにも映りません。
むしろ、「ザリガニっぽい」と言えば、あの名車・GSX1100S KATANAのほうが近いようにも見えるし、「ゴキブリっぽい」と言えば、GSX250Eと同一エンジンを積んだGSX250LやGSX250Tのほうが近いように見えます。
この辺はユーザー個々で感覚が違うのでしょうが、いずれにしても日の目を見ないバイクには、こうしたユーザーから呼称がつけられることはなく、「ザリ」も「ゴキ」も発売時のGSX250Eの注目度の高さを示す呼称のようにも感じます。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
カタナの写真が250なのにキャプションが1100になってるわ。