運転士はボタン押しのプロ? 指で電車が走る鉄道路線

「列車の運転」というとマスコンハンドルを握り、加減速を緻密に制御する光景が思い浮かびますが、なかには「運転はボタンを押すだけ」という路線もあります。その路線の運転士は乗務中、いったい何をしているのでしょうか。

発車は「出発ボタン」で

「列車の運転」というと、運転士が「マスコンハンドル」と呼ばれるハンドルを握り、加減速を緻密に制御している様子を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、東京を走る地下鉄をはじめ、全国の鉄道のなかには「運転はボタンを押すだけ」というケースがあります。

「ATO」(Automatic Train Operation、自動列車運転装置)というシステムが導入されている路線の運転士は、基本的に、駅を出発するときに「出発ボタン」を押すだけで、あとは運転操作をしません。「出発ボタン」を押すと、列車は自動で走って、次の停車駅の決められた位置に自動で停車するのです。

Large 160907 buttonunten 01
ATOを導入する東京メトロ南北線9000系電車の運転台。中央のマスコンハンドルのわきに、「出発ボタン」やドアの開閉ボタンが並ぶ(2016年8月、恵 知仁撮影)。

 もちろん自動運転中、運転士は何もしていないわけではなく、常に状況を監視し、安全運行の確保に努めているのはいうまでもありません。

 ただ、運転がボタンを押すだけでは技量の維持が難しいため、その対策も行われています。丸ノ内線や有楽町線、南北線、副都心線などにATOを導入している東京メトロでは、該当路線の運転士は月2回以上の手動運転をするよう、社内規程で定めているそうです。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。