「対空戦車? もう使えないでしょ」→ウクライナで超主力に!“時代遅れ”が戦場で再評価された理由

ウクライナ国防省は2025年7月23日、ウクライナへの支援の一環として提供された「ゲパルト」自走対空砲が防空任務で果たした貢献に対し、感謝のコメントを投稿しました。同車両、供与時は役に立たないと思われていました。

実は自爆ドローンにかなり有効だった!

 そうした中、ウクライナの戦場に投入された自走対空砲「ゲパルト」は、予想に反して、ドローンや亜音速の巡航ミサイルに対して高い迎撃能力を発揮しています。

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夜間射撃を行う「ゲパルト」(画像:ドイツ連邦軍)

 特に評価されているのが、インフラ攻撃を目的とした自爆型ドローンへの対処能力です。たとえば、ロシアがイランから輸入した「シャヘド」や、そのロシア版である「ゲラン2」、さらには国産の「ランセット」などがその例です。ゲパルトがこれらの無人機に対して有効とされる理由には、これらの自爆ドローンが低空・低速で侵入してくることが、ゲパルトの設計思想と一致していた点、さらには偵察用ドローンに比べて機体が大きく、機関砲の弾を命中させやすいという点が挙げられます。

 さらに、ミサイルではなく機関砲弾を用いることで、圧倒的なコストパフォーマンスの高さが実現されています。

 たとえば、ウクライナに供与されている「パトリオット」地対空ミサイルは、1発あたり3〜4億円という高コストです。比較的安価な旧ソ連製のブーク防空ミサイルでも、1発あたり約5,000万円とされています。一方で、自爆ドローンの中には製造コストが数万円程度というものも存在し、これに対してゲパルトが使用する35mm機関砲弾は1発約数万円程度で対応できるため、コストパフォーマンス的にはかなり有効となっています。

 こうした戦場での実績により、ウクライナは「自爆ドローン対策にはゲパルトのようなシンプルかつ安価な装備が費用対効果の観点から有効」との見解を示しています。この評価の変化は他国にも波及しており、たとえばドイツでは、「リンクス」歩兵戦闘車や「ボクサー」装輪装甲車に搭載可能な新型防空システム「スカイレンジャー30」の開発が進められています。また、トルコでは2018年より、ACV-30「コルクット」と呼ばれる自走対空車両がすでに配備されています。

【画像】で、デでか!「ゲパルト」が装備する35mm機関砲

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