B-29やレーダーに匹敵か 第二次大戦中アメリカが隠し続けた「秘密の水中兵器」とは? “技術の塊”すぎて偽名まで付けちゃった!
第2次世界大戦中、ドイツや日本の潜水艦を屠るためにアメリカが開発した音響式の誘導魚雷。じつはB-29やレーダー、VT信管に勝るとも劣らないほどの最新技術の塊でした。
あえて「機雷」と名付けられたワケ
アメリカ海軍は1941年12月、ハーバード大学とベル電話研究所の共同プロジェクトとして、「フィドー(Fido)」の暗号名で魚雷向けの誘導装置の開発をスタートさせました。

研究は順調に進み、既存のMk.13航空魚雷の弾殻を短縮し、新たに誘導装置や炸薬を組み込んだ結果、魚雷としては比較的短い外観だったMk.13よりもさらに短い寸胴の誘導魚雷が完成。これがMk.24機雷と命名されたのです。
ちなみに、なぜ魚雷ではなく「機雷(Mine)」と命名されたのかというと、最新兵器だから。ゆえに、秘匿のためにわざと採られた措置でした。ただ、暗号名から「フィドー」と呼ばれることも多かったようです。
Mk.24の誘導方式は、音響を探知するとそれに向かっていくパッシブ音響誘導方式です。開発に際しての留意点は、当時の真空管を使ったシステムが海面突入時の衝撃で故障・破損しないように、優れた対衝撃性を持たせることでした。なお、航空機搭載兵器なので蓄電池やモーターの規模などの問題もあって、最大速度はわずかに12ノット(約22.2km/h)でした。
Mk.24を搭載したのは、連合軍の代表的な対潜哨戒機である「アベンジャー」攻撃機、「カタリナ」飛行艇、「シーリベレーター」長距離哨戒機などです。
当時、日本やドイツの潜水艦は対潜哨戒機を発見すると、急速潜航で逃げるのが常でした。そして、潜航途中の敵潜水艦は対空射撃が行えないので、Mk.24の投下には最適の条件だったようです。
というのも、前述したように海面突入時の衝撃を和らげるため、搭載機はできれば低空を低速で飛行しながら投下しなければならなかったからです。
加えて、Mk.24はわずか12ノットの速力しか出ませんが、潜航中の潜水艦なら十分に追いつけます。仮に、潜水艦が浮上したまま全速力を出すと12ノット以上になるので、回避されてしまう可能性が高くなります。そのため、Mk.24が低速であることは秘密とされました。
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