B-29やレーダーに匹敵か 第二次大戦中アメリカが隠し続けた「秘密の水中兵器」とは? “技術の塊”すぎて偽名まで付けちゃった!

第2次世界大戦中、ドイツや日本の潜水艦を屠るためにアメリカが開発した音響式の誘導魚雷。じつはB-29やレーダー、VT信管に勝るとも劣らないほどの最新技術の塊でした。

実戦で使ったら約4分の1が有効打に

 Mk.24が実戦で初めて使用されたのは1943年中頃でしたが、この頃から連合軍の長距離対潜哨戒機が活発に活動するようになったため、ドイツ海軍は潜水艦の対空兵装を強化。従来の敵機を発見したら即、急速潜航ではなく、海上に踏み止まって対空戦闘を行うという方針がとられたこともありました。

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爆雷もしくは対潜魚雷を投下するアメリカ海軍の「カタリナ」飛行艇(画像:アメリカ海軍)。

 というのも、長距離飛行が可能な多発の対潜哨戒機は通常、単機で行動しているうえ、大型機で鈍重ながら攻撃のため低空に降りてくるので、強力な対空兵装でイチかバチかの勝負を挑んで運よく撃退できれば、潜水艦からは手も足も出せない急速潜航の途中で撃沈されてしまうよりもましだと考えられたからです。

 とはいえ、ドイツ潜水艦がこの戦術を選択できたのは、同国が機関銃や機関砲といった火器においても先進国で、潜水艦にもそれらの優秀な火器を増備できたからです。残念ながら日本の潜水艦には選択できない戦術でした。

 第2次世界大戦中、Mk.24は204発が潜水艦に向けて発射され、37隻を撃沈し18隻に損傷を与えています。つまり全発射数204発のうちの55発、約4分の1が有効だったという計算になります。これはきわめて高い数値といえるでしょう。

 今日、世界の海軍で当たり前に用いられている航空機搭載型の対潜誘導魚雷ですが、その嚆矢となったMk.24は、総計で4000発が生産され、アメリカ海軍は1948年まで使用していました。

【なんか不格好…】これが世界初の音響誘導魚雷「Mk.24」です(写真)

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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