なぜ醜くした!?「世界一ブサイク」と酷評されたクルマ 実はオーナーたちの評判は悪くなかったワケ
2008年の『デイリー・テレグラフ』紙で、「世界一醜いクルマ」という不名誉な称号を得たのがポンティアック「アズテック」です。ただ、スタイリング以外は使い勝手に優れていたため、ひょっとしたら傑作車に化けた可能性もありました。
コンセプトカーに期待していたら市販モデルがヒドすぎてビックリ!
「アズテック」のデザインはGMのトム・ピーターズが担当。彼は「万人向けではなく、大胆で目立つクルマを作りたかった」と述べていますが、その言葉どおり、一見するとアクが強く、攻撃的なルックスで、人によって好みが分かれるスタイリングでした。とはいえ、これはこれでまとまりがあり、個人的にはなかなかカッコ良いクルマだと感じたのを覚えています。このコンセプトカーは鮮やかなソリッドイエローでペイントされたこともあって、ショー会場の中でもひと際目立っていました。

しかし、その1年半後にデビューした市販モデルの「アズテック」は、GMのミニバン用プラットフォーム「Uボディ」を使用したことで、ナローボディで妙に腰高感のあるフォルムへと様変わりしていました。
エクステリアの見どころのひとつが、ボンネットの切れ目から後方に向けて車体前方をぐるりと回り込んだラインでしょう。これがウエストラインへ溶け込み、このラインを起点にしてヘッドランプが装着され、ブリスター化されたフェンダーが大きく盛り上がることでフロントマスクはワイドさが強調されています。こうすることで、スレスレのバランス感覚のなかで調和が図られていました。
これが、市販モデルの「アズテック」では、ミニバンをベースにしたことでプロポーションが破綻してしまったのです。コンセプトカーに少しでもカタチを似せるべく、あれこれ手が加えられているもののまとまりが悪く、ヘッドランプなどのパーツも適当に組み込んだかの印象になってしまっています。お世辞にもスタイリングを褒めることはできません。
魅力的なコンセプトカーを見て、ポンティアックの新型車に期待を寄せていたアメリカのユーザーは、市販化された「アズテック」を見て大いに失望したとか。その結果、GMが想定した年間7万5000台の計画販売台数はおろか、損益分岐点の年間3万台にも1度として届くことなく、わずか4年でモデル廃止となりました。
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