戦争終わったはずじゃ!? ソ連潜水艦による一週間後の惨劇「三船殉難事件」1700人余が犠牲 でも日露両政府は認めず 何故?【前編】

8月15日は「終戦の日」と呼ばれるため、この日をもって戦争が終わったと思われがちです。しかし、南樺太ではその後も戦闘は続き、しかも北海道の沖合では民間船が沈められ、多数の犠牲者が出ていました。

第二号新興丸、攻撃を受け大破

「小笠原丸」が潜水艦の魚雷攻撃を受け、沈没したおよそ1時間後のことです。同じく南樺太からの避難民約3400人を乗せ、大泊から小樽へと向かっていた海軍の特設砲艦「第二号新興丸」が、留萌沖で潜水艦から魚雷攻撃を受けました。

Large 20250815 01

拡大画像

特設砲艦兼敷設艦「第二号新興丸」(画像:留萌市教育委員会)。

 魚雷が直撃し、船腹に縦約5m、横10mほどの穴が開いたものの、かろうじて沈没は免れました。攻撃してきた潜水艦は海面に浮上し、なおも砲撃や銃撃を加えます。

「第二号新興丸」は元々民間の船舶でしたが、1941(昭和16)年に海軍に徴用され特設砲艦となり、主に宗谷海峡周辺で機雷の敷設などに従事していました。特設砲艦に改装された際、砲や機銃座が設けられており、これらを使って潜水艦の攻撃に対して応戦したと伝わっています。

 ただ、沈没は免れたとはいえ、魚雷の爆発で死傷者が出たことに加え、船腹に開いた穴から多くの乗船者が流されたそう。傷ついた船はなんとか留萌港にたどり着きましたが、船内で確認された遺体は229体、それに加えて海に流されたとみられる行方不明者は400人近くにのぼりました。 (続く)

【日本が分割されていたかも】これがソ連の北海道占領プランです

Writer:

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. これまでも。そしてこれからも国際法を順守しないロシア。忘れてはなりません。ウクライナの惨劇を見ても気付かないパヨク。平和ぼけも極まれりか。