王者ホンダに肉薄! スズキの“ドデカ軽”スペーシアがぐんぐん注目度を上げてきたワケ “横並び”やめて成功?

軽スーパーハイトワゴン市場で、ホンダ「N-BOX」としのぎを削っているスズキ「スペーシア」ですが、現在の地位を獲得するまでには、N-BOXやダイハツ「タント」とも違う“独自の魅力”を模索していた時期がありました。

ハスラーで何か掴んだ?

 まず、2016年にはカスタムの上をいく“ヤンチャグレード”の「カスタムZ」が登場。メッキパーツを多用した迫力のある顔立ちで、若い男性などからの支持拡大を目指しましたが、今一歩ヒットには至りませんでした。

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初代スペーシアは、ロングホイールベースの新プラットフォームによって大きな室内空間を実現(画像:スズキ)

 そこで、2017年に発売した2代目スペーシアではアプローチ手法を変更します。全高やホイールベースの拡大、ドア断面構造の見直しなどによってさらに室内スペースを稼ぎ出しつつ、エクステリアは基本モデル、カスタムともに「スーツケース」をモチーフとした、ガジェット感の強いデザインへと変身。タントやN-BOXとも違う、独自の世界観を構築しました。

 そして、2018年にはSUV的なスタイリングを持つ「スペーシアギア」が仲間に加わりました。これはスペーシアカスタムをアクティブに寄せたモデルでしたが、クロスオーバー軽として大ヒットした「ハスラー」のイメージをスペーシアに反映したグレードと言える存在です。

 撥水加工を施したファブリックシート、防汚タイプのラゲッジフロアやシートバック背面を採用し、遊び盛りの子どもを乗せても車内を汚さない工夫が施されていました。モデルライフ途中での追加車ながら、老若男女問わず幅広い層からの支持を得ます。

 その後も、スペーシアは多様なユーザー層に向けたバリエーション展開に注力し、2022年にシリーズ初の商用登録モデルとなる「スペーシアベ―ス」を追加したほか、2023年には現行型となる3代目へとフルモデルチェンジしました。現行型は新型プラットフォーム「HEARTECT」を採用し、デザインモチーフは“スーツケース”から“コンテナ”へと発展しました。

 そして2024年5月にはついに、軽の月間販売台数でN-BOXを破り、念願となるトップセールスを記録。同年9月にはギアもモデルチェンジを果たし、ラインナップの強化に今なお取り組んでいます。

 歴代とも標準モデルは「扱いやすい女性ドライバー向け」としながらも、その優れた性能を活かしたスペーシアカスタム、スペーシアギアといった派生モデルによって、幅広い層から支持を得てきました。こうした商品開発が実を結び、現在ではワゴンRに代わる、スズキの主力モデルへと成長を遂げました。

【振れ幅ありすぎ!】これがスペーシアの放った「逆転打」です(写真で見る)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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