一方的にボコられた「中東屈指の軍事大国」自慢の空軍戦力なぜ使わなかった? じつは自衛隊も他人事じゃないかも
2025年6月に起きたイスラエルによるイラン攻撃は戦史に新たな1ページを刻む出来事となりました。「12日間戦争」と呼ばれるこの戦闘のポイントは、イスラエルが限りなく完璧に近い航空作戦を展開した点でした。
自衛隊にとっても他人事じゃないワケ
さらにイスラエルは、開戦直後から通信妨害とサイバー攻撃を並行して仕掛け、イラン空軍の指揮統制系統を分断したと推測されます。奇襲と妨害によって空軍は効果的な作戦自体が不可能であった可能性が高いでしょう。結果としてイランは、航空戦力を組織的に運用するどころか、戦闘空域に出る機会すら与えられなかったのが実情でした。
こうして「12日間戦争」は戦術的にイスラエルの圧倒的な勝利で幕を閉じています。戦果の大きさに注目が集まりましたが、実はイスラエル空軍が「無傷で勝利した」という事実も特筆すべき事象なのです。
過去の戦史を振り返れば、いかなる空軍であれ出撃すれば損耗を伴うのが当たり前でした。ところが、「12日間戦争」では前述したように、イスラエル空軍が1500ソーティを重ねながら、有人機に一切の損害を出さなかったのです。
この結果は、2020年代の航空戦の歴史としてウクライナとは全く違った様相を見せた例であり、しっかり研究・検証したうえで我が国では同じ轍を踏まないよう対策を進める必要があると言えるでしょう。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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