本格4WDが「町の名産品」でした!? “国民車並み”に売れた三菱「パジェロ」伝説 何がスゴかったの?
1980年代から1990年代にかけて、本格オフロード4WDの代表格として人気を博したのが三菱「パジェロ」です。一時は「カローラ」を破るベストセラーを記録した、人気の隆盛を振り返ります。
栄華を極めた“パジェロ帝政”だったが…
しかしながら、一気に隆盛を極めたパジェロは3代目(1999年発売)、4代目(2006年発売)とモデルチェンジするごとに、販売台数を落としていきました。これは競合車種に人気を奪われたこと、そして三菱自動車が本来の経営戦略に立ち戻ったことが要因と言われています。

こうして、パジェロは2019年に発売となった「ファイナルエディション」を最後に、日本での販売を終了。2021年には海外向けモデルも廃止となり、37年の歴史に幕を下ろし、「アウトランダー」などの他の車種に、その役目を譲りました。
全パジェロの約8割が生まれた「パジェロの町」
ところで、パジェロには“故郷”とも言える町があります。それが三菱の100%子会社で、パジェロ全体の約8割以上の台数を生産した「パジェロ製造」という会社の本拠地だった、岐阜県加茂郡の坂祝町(さかほぎちょう)です。
パジェロ製造は初代がデビューした1982年から、一貫してパジェロの生産業務を担当。人口1万人にも満たない坂祝町では、税収の大半はパジェロ製造によるものだったとされています。こうしたエピソードから、坂祝町はコアなファンの間で「パジェロの町」として知られていましたが、海外向けを含め、パジェロが完全に生産終了となった2021年に、工場を閉鎖しています。この小さな町で生まれたパジェロは、合計で約324万台と言われています。
しかし、2024年には「近い将来、パジェロが国内で復活するかも?」という衝撃的なニュースが駆け巡りました。新型パジェロとして予想されているモデルは、主力のピックアップトラックである「トライトン」をベースに開発が進んでいる模様で、生産はトライトンと同じタイの工場で行われると噂されています。詳しい全貌はまだ明らかになっていませんが、パジェロの新たな伝説が始まる日を、筆者も強く願うばかりです。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。
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