「ジェット練習機、だいたい形同じじゃね?」→将来変わるか? 戦い方が変わりつつある今、その最新事情
世界各国の軍用ジェット練習機は、概ね似通った姿をしているほか、軽戦闘機などの派生型が製造されることが多いです。この傾向は将来、変わるのでしょうか。
「将来も形変わんないんじゃね?」その根拠
ジェット練習機が、ステルス機能を持った軽戦闘機・軽攻撃型のバリエーションを視野に入れて開発されることは、将来もないとは言い切れません。その際は練習飛行中もレーダーに映らず困ると考える向きもあると思いますが、これは練習機として使う場合は反射構造物を機体に付ければ問題ないでしょう。既存のステルス戦闘機でも訓練中は反射構造物を付けています。
とはいえ、練習機の一番の目的はあくまでも新人パイロットの養成です。
視界の良い大きな風防や、舵の効きと飛行時の安定を確保する背の高い垂直尾翼は、プロペラ練習機からジェット機に進んだばかりの訓練生でも扱いやすいスタイルなのは間違いありません。練習機として一番の目的に変わりがない限り、「ヒュルジェット」以降に生まれる練習機も今のスタイルが受け継がれていくのはほぼ間違いないでしょう。
軽戦闘機・軽攻撃型のバリエーション展開についてはどうでしょう。
攻撃機として無人機を揃える場合はあくまでも練習機とは別の機種を導入することになり、支援機材も同時にそろえなければなりません。それより、練習機とバリエーション展開した軽戦闘機・軽攻撃機型を一緒に導入した方が効率的な運用ができ費用も抑制できる可能性があります。
ステルス戦闘機を投入するほど難易度の高い作戦でなければ、むしろ軽戦闘機・軽攻撃機の方が使い勝手は良い場合があります。昨今は高空を飛ぶ偵察無人機も増えたため、これらへ対応するスクランブル(緊急発進)にも、軽戦闘機は本格的な戦闘機より費用対効果で似つかわしいかもしれません。練習機に軽戦闘機・軽攻撃機も加われば総生産数も上がり、1機当たりの製造費も下がると見られます。
これらの理由により、ジェット練習機は今後も姿を変えず、また軽戦闘機・軽攻撃機のバリエーションも持ち続けると筆者は考えます。それは何よりも、トルコがステルス戦闘機「カーン」を開発しつつ、「ヒュルジェット」のバリエーション展開を計画していることからも分かります。
Writer: 清水次郎(航空ライター)
飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。
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