自衛隊が爆買い中「ボーイング製空中給油機」が抱える深刻なトラブル 解決の目途は立っているの?

航空自衛隊が増勢を図っている最中のKC-46A空中給油・輸送機ですが、肝心の空中給油システムに問題があります。最新の映像システムを導入したせいで、うまくドッキングできないのだとか。目途は立っているのでしょうか。

現代戦には必須の存在となった空中給油機

 現代の航空戦を考えるとき、戦闘機や爆撃機の性能ばかりが注目されがちです。しかし、航空優勢を獲得し、長駆飛んでいく必要がある作戦を遂行する際に必須の「影の主役」というべき存在、それが空中給油機です。

Large 20250909 01

拡大画像

航空自衛隊向けのKC-46A空中給油・輸送機(画像:ボーイング)。

 空中給油機がいれば、戦闘機をはじめとする各機の作戦行動半径を飛躍的に拡張することができます。さらに最大離陸重量や飛び立つための滑走距離に制約がある場合でも、とりあえず燃料を少なめにして離陸し、空中で給油することで進空時の兵装搭載量を引き上げることができ、これにより戦力投射の柔軟性が高まります。

 冷戦期以降、アメリカ空軍はその重要性を徹底的に理解し、実に400機規模という空前の空中給油機群を維持してきました。アメリカが世界中に軍事的影響力を行使できる理由の1つは、この巨大な空中給油ネットワークの存在にあるといっても過言ではないでしょう。

 日本も例外ではありません。かつて航空自衛隊の空中給油機はわずか4機しかありませんでしたが、近年の安全保障環境の変化を背景に、その数を急速に増やしつつあります。すでに導入を決定した機数は19機に達し、かつての「限られた補助戦力」という位置づけから、「航空作戦の持続性を左右する基盤戦力」へと格上げされつつあります。

 日米双方の空中給油機部隊において、中核を担う想定なのがボーイング製のKC-46A「ペガサス」です。しかし、このKC-46は当初の期待に反し、決して順風満帆な道を歩んできたわけではありません。むしろ、運用開始以来、その存在には常に暗雲がつきまとってきました。

 最大の問題は、皮肉にも空中給油機の「心臓」ともいえる給油システムにあります。給油方式の中心となる「フライングブーム」は、KC-46では遠隔操作方式が採用されました。ブーム操作者は機体後部に直接座るのではなく、コックピットから「遠隔ビジョンシステム(Remote Vision System:RVS)」を介してブームを制御する仕組みです。

【写真】3Dの立体映像!? これが画期的なKC-46の遠隔ビジョンシステムです

最新記事

コメント