自衛隊が爆買い中「ボーイング製空中給油機」が抱える深刻なトラブル 解決の目途は立っているの?

航空自衛隊が増勢を図っている最中のKC-46A空中給油・輸送機ですが、肝心の空中給油システムに問題があります。最新の映像システムを導入したせいで、うまくドッキングできないのだとか。目途は立っているのでしょうか。

最新の空中給油システムに問題が…

 このRVSは、一見すると最先端技術の結晶に見えます。24インチの高解像度3Dディスプレイが並び、複数のカメラから送られる立体映像を通して、操作者はあたかも目視しているかのように受油機へブームを接近させることができる、はずでした。

Large 20250909 01

拡大画像

航空自衛隊のKC-46A空中給油・輸送機。全機が鳥取県の米子基地に配備されている(画像:航空自衛隊)。

 ところが、実際にはシステムの精度や表示の遅延、光条件による映像の乱れなどが重なり、受油機との接触が不安定となる事例が相次ぎます。中には受油機の外板にブームが擦れ、損傷を与える事故まで発生したほどです。給油そのものが航空作戦の生命線である以上、この欠陥は技術的瑕疵を超え、戦略的リスクもはらむほどになっています。

 アメリカ空軍は問題の重大性を認識し、ボーイングとともに改修作業を続けています。現在配備されているKC-46には「RVS 1.5」と呼ばれる応急対策版のシステムが搭載され、ソフトウェアの調整によって映像処理を改善したとされます。

 しかし、これは根本的な解決策ではなく、あくまで「当面の妥協」的な水準にすぎません。抜本的な改良が施されるのは、2026~2027年から導入予定の「RVS 2.0」であり、完全な安定運用にはまだ時間を要するようです。つまり、アメリカ空軍も航空自衛隊も、当面のあいだは潜在的なリスクを抱えたまま、この新世代の空中給油機を飛ばし続けなければならないという厳しい現実に直面しているのです。

 空中給油機は戦闘の主役ではないものの、その存在なくして近代空軍は「戦える軍隊」として成立し得ません。KC-46の不具合は、まさにこの「影の主役」の重要性を逆説的に示していると言えるでしょう。アメリカと日本の空を支えるべき新世代の翼に、今なお暗雲が垂れ込めていることは、決して看過できない事実です。

【写真】3Dの立体映像!? これが画期的なKC-46の遠隔ビジョンシステムです

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. KC-767から

    新型が

    KC-46は

    KC767に

    ボーイング787の

    デジタル計器になる

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス