21か国でお邪魔!「ブラジルの航空機メーカー」への使節団に「日本」もなぜか入っていたワケ しかも割といい位置に
ブラジルのエンブラエルが21か国の外交使節団に製造施設を公開し、日本の外交使節も参加。見学したKC-390は航空自衛隊の老朽化したC-130Hの後継機候補として注目されている機体です。
KC-390に白羽の矢が立つ、もっともな理由
もっとも、KC-130Hの後継機としては、C-130の現行生産型C-130Jの空中給油・輸送機型KC-130Jの導入が有力視されていました。

KC-130JはKC-130Hよりも給油用燃料の搭載量が増加しているだけでなく、アメリカ海兵隊用に開発された「ハーベストホーク」システムを搭載すれば、ISR(情報収集・監視・偵察)任務と対地攻撃任務も行えるという長所も備えています。
ただし、KC-130Hと同様、空中給油任務の際には給油用燃料のタンクを貨物室に搭載して、機体の燃料システムと接続する必要があります。タンクの搭載に要する時間は、通常の貨物の搭載に要する時間と大差ありませんが、機体の燃料システムと給油用燃料タンクの接続と点検には時間がかかります。そのため給油用燃料タンクの頻繁な着脱は現実的ではありません。
このため航空自衛隊のKC-130Hは名目こそ「空中給油・輸送機」ですが、ほぼ空中給油機として運用されているようです。
アメリカ軍のように多数の輸送機と空中給油機を保有している組織であれば、あまり大きな問題ではないでしょう。しかし航空自衛隊のように輸送機と空中給油機が限られている組織にとっては、有事や大規模災害の際に、輸送機として運用するための作業に時間と手間を要するのは望ましいことではありません。この点は航空自衛隊がKC-130Jを導入する上でのネックの一つと目されています。
これに対し、KC-390は機内に搭載した燃料を使用して空中給油を行います。このためKC-130のように、燃料タンクの着脱を必要とせず、空中給油機としても輸送機としても使用できます。
スウェーデン空軍は航空自衛隊と同様、輸送機として導入したC-130HをKC-130Hに改造して空中給油機として運用しています。同空軍はC-130HとKC-130Hの後継機としてKC-390を発注していますが、KC-390を採用した理由の一つは、燃料タンクの着脱とそれに伴う作業を必要とせずに、輸送機としても空中給油機としても運用できる点にあると見られています。
自衛隊はブラジル製の装備を導入したことはありませんが、エンブラエルが開発した短距離ジェット旅客機「Eシリーズ」は、日本の民間航空会社でも多用されています。KC-390にはEシリーズと同じV2500ターボファン・エンジンが使用されていますので、エンジン整備などで民間航空会社の協力を得られる可能性もあるのではないかと思われます。
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