アメリカ軍の攻撃で「船舶が爆発炎上」映像が公開 トランプ氏も声明 異次元の規模の“取締り”で緊張走る
アメリカ軍は2025年9月15日、違法薬物をアメリカ国内に輸送していた疑いのある、ベネズエラ発と見られる船舶を攻撃する映像を公開しました。
薬物汚染の深刻さ? 対立国へのけん制?
アメリカ軍は2025年9月15日、違法薬物をアメリカ国内に輸送していた疑いのある、ベネズエラ発と見られる船舶を攻撃する映像を公開しました。

この攻撃について、アメリカ軍は南方軍の管轄下にある国際水域で実施されたものであり、船には麻薬密売カルテルの構成員3名が乗っていたと発表しています。
ドナルド・トランプ大統領は、今回の攻撃について「今朝、私の命令により、アメリカ軍は南方軍の管轄区域において、極めて暴力的な麻薬密売カルテルと麻薬テロリストと確認された者に対し、二度目の攻撃を実施した」とSNSに投稿しました。なお、攻撃を実施した部隊の詳細や具体的な攻撃手法、標的となった組織名などは現時点で公表されていません。
これに先立ち、9月3日にもアメリカ軍は、ベネズエラの麻薬密輸船とみられる船舶を攻撃し、「11人のテロリストが殺害された」と発表しています。この件に関してベネズエラ政府は同船はマグロ漁船であったと強く抗議しており、ニコラス・マドゥロ大統領は「民間人に対する軍事攻撃だ」と非難しています。
アメリカ政府は、これら一連の攻撃をコカインやフェンタニルなど違法薬物の脅威から国民を守るための「自衛措置」であると説明しています。
ここ数週間アメリカは南米からの違法船舶の動きを監視するため、周辺での海軍力を強化しておりカリブ海には、ワスプ級強襲揚陸艦「イオー・ジマ」を中核とする即応展開部隊(ARG)を展開しているほか、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦2隻、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦1隻、さらに攻撃型原子力潜水艦1隻も周辺海域に展開しています。
また、9月13日には、プエルトリコにF-35B戦闘機6機が派遣されていることが確認されています。F-35Bは垂直着陸能力を有し、空母以外にも飛行甲板を持つ揚陸艦での運用が可能であることから、近隣海域に展開している「イオー・ジマ」との合流も予想されています。
ここ数年アメリカで蔓延しているフェンタニルは、主にメキシコ経由でアメリカに密輸されるのが一般的でしたが、近年の取り締まり強化により、南米〜カリブ海経由のルートも活発化しており、ベネズエラの麻薬カルテルが関与している可能性が指摘されています。
ただし、今回のような異例の規模での軍事展開については、単なる麻薬密輸取り締まりの枠を超えているとの批判もあり、マドゥロ大統領は「これは緊張状態ではなく、明白な侵略行為だ」とアメリカの行動を非難しています。
チャベス政権以降、十数年にわたり続いてきたベネズエラとアメリカの対立構造は、今回の一連の攻撃によって、さらに深刻な段階に入りつつあります。
コメント