常磐線を走った電車が「九州」に出現! 憶測呼ぶ「謎の車両輸送」の目的は? 福島県から福岡県まで大移動

常磐線で活躍していたE501系電車が九州へ輸送されました。どのような目的があるのでしょうか。

JR九州「JR東日本から8両を購入」

 JR東日本の常磐線や水戸線で活躍していたE501系電車が、今月に入り、福島県の郡山から福岡県の西小倉まで輸送されました。どのような目的があるのでしょうか。

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E501系(画像:写真AC)

 E501系は元々、常磐線の取手駅(茨城県取手市)以北から東京方面への通勤輸送に対応するため、1995年にデビューした車両です。常磐線の架線は取手~藤代間に直流電化と交流電化の境目があり、E501系はどちらの電流でも走ることが可能な交直流電車となっています。扉は片側4か所、座席は全てロングシートです。

 10両の基本編成と5両の付属編成が各4本製造され、当初は上野~土浦間で15両で運用されていましたが、2007年に上野駅への乗り入れが終了。その後、常磐線の土浦以北や水戸線で運用され、現在は常磐線の水戸駅以北で使用されています。5両編成の一部はイベント専用車両「E501 さきがけ」に改造されました。

 常磐線では後継車両となるE531系の増備により、影が薄くなっていたE501系ですが、今月、5両編成から中間付随車1両を外して4両とした2編成が、福島県の郡山からの福岡県の西小倉まで甲種輸送(鉄道車両をJR貨物などの機関車の牽引で貨物列車扱いで輸送すること)され、鉄道ファンの注目を集めました。

 甲種輸送にあたり、車体の帯は剥がされています。JR東日本やJR九州からはこの件に関して、まだ正式な発表はなく、様々な憶測を呼んでいます。

 JR九州は、E501系が九州に輸送された背景について「老朽化した車両の置換を考慮し、JR東日本から8両を購入しました。改造工事を実施する予定ですが、具体的な改造計画は未定です」と話します。運行区間や運用開始時期については、詳細決定後に公表するとのこと。

 E501系は、JR九州に残る老朽化した車両を置き換えることを目的に、はるばる東日本から甲種輸送されてきた形です。ちなみに、JR東日本からJR九州へ車両が譲渡されるのは今回が初めてではなく、かつて常磐線で活躍していた415系も譲渡されています。JR東日本が「新系列車両」として位置付ける、209系以降の電車がJR九州に譲渡されるのは初です。

 なお、JR九州の電化区間は基本的には交流電化で、筑肥線の一部と関門トンネルが直流電化となります。直流区間と交流区間をまたぐ下関~門司を直通する列車には、交直流電車である415系が使用されています。

 JR九州は今年に入り、東京都の「りんかい線」を運営する第三セクターの東京臨海高速鉄道から70-000形も譲受しています。こちらも老朽化した国鉄型電車を置き換えに充てられる予定です。なお、JR九州には国鉄型電車だけでなく、国鉄型気動車も残っています。国鉄型気動車に関しては、「次世代車両」となるYC1系気動車の増備により、置き換えが進んでいく見通しです。

 

【画像】E501系が後継に!? これが九州に残る「国鉄型電車」です

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