「待望の鉄道」なのになぜか「旧来の川船」が選ばれる… 乗り心地もビミョー!? 巨大ショッピングモールアクセスの謎 タイ
バンコク市街に開業した「タイ最大級のショッピングモール」。そこは大河を渡る船便でのアクセスが中心だった“鉄道空白地帯”でしたが、待望の鉄道が開業してもなお、船便が優位なのはなぜでしょうか。
超ゆっくり→急加速の繰り返し!?
ゴールドラインで採用されている車両および運行システムは、ボンバルディア(現アルストム)の「イノーバAPM 300」で、空港内のシャトルサービスで実績がありますが、市内交通では上海メトロの「浦江線」など、わずかな採用例しかありません。

その仕組みは軌道敷中央の案内軌条に沿って、ゴムタイヤを履いた2両編成が無人で走るという、日本で言うところの「新交通システム」ですが、路線形状に急カーブが多いため、カーブ手前で急減速し、左右に揺れながらカーブを通過したら急加速するという繰り返しです。
線形がほぼ直線に近い空港内シャトルサービスであれば、こうした特性は問題にならないかもしれませんが、市内交通ではちょっと厳しいものがあるでしょう。
ただこのゴールドラインを使ったアクセスは、”逃げ道”として頭の片隅にとどめておいたほうがいいかもしれません。
なぜなら、アイコンサイアムでのイベント開催日など、夜間の一部の時間帯においては、サパーンタークシン駅への船(シャトルボート)が非常に混雑する場合があります。また悪天候時の船は、乗る場所によっては雨を避けられないこともあるからです。
なおゴールドラインは将来的に、現在の終点のクローンサーン駅から北に延伸され、新設される「プラジャピポック駅」で、こちらも延伸を検討中の「パープルライン」と接続する計画があります。そうなるとチャオプラヤー川西岸を南北につなぐ、水上交通を補完する縦軸として注目されそうです。
ただこの計画が実現すると、今度は輸送力が十分なのかどうか、そこがあらたな課題として浮かび上がってくるかもしれません。
Writer: 植村祐介(ライター&プランナー)
1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。
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