「東北本線バイパス」になるはずだった? 県境を越えて走る55kmの三セク鉄道、その紆余曲折と今

福島駅と槻木駅(宮城県柴田町)を結ぶ阿武隈急行は、第三セクター鉄道としては珍しい交流電化路線です。その背景には、路線が歩んできた紆余曲折があります。阿武隈急行の成り立ちと今を紹介します。

車窓からは「素晴らしい景観」

 13時19分、車両基地もある中心駅・梁川に到着しました。ほとんどの乗客が下車し、列車に乗っているのは筆者(安藤昌季:乗りものライター)を含めて3人だけ。2号車は無人となります。

 車内が空いたので、落ち着いてAB900系を眺めます。JRのE721系をベースにした電車で、車体には沿線の自然や花をテーマにしたアクセント色があしらわれています。色は編成ごとに異なり、薄藍・緑・黄・桃・橙・赤・緑の7種類があります。

 座席は、福島方が花の王国をイメージした暖色系、槻木方は杜の都仙台を表現したグリーン系です。セミクロスシートでトイレも付いています。特筆すべきは「窓が際立って綺麗なこと」です。

 13時30分、やながわ希望の森公園前に到着。ついに筆者以外の乗客はゼロとなります。富野、兜と乗客ゼロ。やがて左手に阿武隈川が見え始めます。長いトンネルを抜けると、ひらがなの「あぶくま」駅に到着し、1人乗車。乗客の少ない区間ですが、阿武隈川の景観は素晴らしく、トロッコ列車が走る観光路線のようです。乗り心地は良好でした。

 13時49分の丸森で1人が下車し、再び筆者のみに。旧国鉄区間に入ったからか、やや乗り心地が悪くなります。13時57分着の角田で7人ほど乗車。ここからは人家がかなり増えます。しかし駅間距離が長く、需要を拾い損ねている印象を受けました。

 14時11分槻木着。JRと駅施設が共用のため、列車を降りる際に精算済票が運転士から渡されます。改札内でJR東北本線にそのまま乗り換えることも可能。車両は今まで乗ってきた阿武急AB900系の“兄弟”車両であるE721系でした。

【絶景!?】阿武隈急行の車両と車窓を見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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