新幹線史上最高の“万能選手”さらば!「E3系」のスゴすぎる経歴 足湯つき 車内が美術館 誰とでも連結!?
JR東日本の新幹線E3系が、2025年内に定期運行を終了する見込みです。1995(平成7)年に登場して以来、様々な路線や列車として使われるとともに、いろいろな姿に改造されてきました。その「万能選手」のような経歴を振り返ります。
観光列車もあったE3系
秋田新幹線では後継のE6系が登場したことで、2013(平成25)年から「こまち」用E3系の廃車が始まりました。比較的新しい車両は観光用車両のE3系700代に改造され、2014年に山形新幹線で「とれいゆ」、2016(平成28)年に上越新幹線で「現美新幹線」がそれぞれ登場しました。
「とれいゆ」は、座敷席を中心とした和風の車内に改装され、物品販売のカウンターや畳敷きのラウンジを備えた「湯上がりラウンジ」のほか、「くつろぎの間」として足湯を備えた車両を設定していました。
「現美新幹線」は、現代アートを展示する美術館に見立てた外観・内装に改造されました。東京方面に向かって左側の窓を埋め、車内には作品を展示していたほか、右側にはソファ席が配置されていました。さらに、カフェ・カウンターやキッズスペースを備えた車両もありました。
「現美新幹線」は2020年に運行を終えて翌年に廃車。「とれいゆ」も2022年に運行を終えて廃車されています。
このほか、「こまち」用から「つばさ」用に改造された車両もありました。初期のE3系1000番代を置き換えるためで、「こまち」の6両編成から「つばさ」用の7両編成となり、車体の色や客室設備を山形新幹線に合わせていました。2014年に登場しましたが、2024年に廃車されています。
「こまち」用のE3系は、2014年に「こまち」から退きましたが、2編成がE5系と連結して東北新幹線の「やまびこ」「なすの」で使用されていました。しかし、2020年に定期運用を終了し、翌年に廃車されています。
「つばさ」のE3系も、後継のE8系が2024年3月に営業運転を開始したことで、廃車が進んでいます。E8系は2025年6月に複数の編成で不具合が発生し、一部の列車で運行を取りやめる事態となりましたが、原因の究明や損傷した部品の交換が行われ、順次復帰する見込みです。E8系の予定数である15編成が導入されると、E3系が「つばさ」から引退する計画です。
「つばさ」で使用されたE3系のうち、L67編成はインドに渡る見込みで、2025年5月には白1色に塗り替えられた姿が確認されています。
また、荷物輸送専用車両も登場する見込みです。車内の座席を撤去して床面をフラットとし、荷物を積みやすくする改造が施される予定です。
このほか、E3系と同形の「East i(イーストアイ)」ことE926形新幹線電気・軌道総合検測車は、2029年度導入予定のE927形に置き換わる予定です。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
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