なぜ高速看板は青じゃない?「目に優しい」は俗説です! じつは60年前の検証結果が由来
高速道路の標識は緑、一般道は青と決められていますが、その根拠は何なのでしょうか。実は「目に優しいから」ではありませんでした。
決め手は夜の見え方 60年前の実験が明かした色の正体
2025年10月7日、NEXCO東日本が冬の本格的な到来を前に、高速道路の除雪車両の出陣式を行ったというニュースが報じられました。

私たちが安全に高速道路を走行できるのは、こうした日々の備えのおかげですが、道路標識の色にも、安全を守るための深い理由が隠されています。
高速道路の案内標識が緑色、一般道が青色であることは、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」、通称「標識令」で定められています。しかし、なぜこの色が選ばれたのでしょうか。
その直接のきっかけは、日本初の高速道路「名神高速道路」が開通する直前の1963年に行われた夜間走行実験でした。
当時最新の、ヘッドライトの光を効率よくドライバーの目に返す再帰性反射シートにヘッドライトを当てて実験したところ、重大な事実が判明しました。青い標識は、多くの被験者が緑色に見えると誤認したのです。
昼と夜で色が違って見えることは、ドライバーの混乱を招き、重大な事故につながりかねません。このため、昼夜を問わず一貫して緑と認識できる緑色の標識が採用されることになりました。
この判断は、科学的な理由によっても裏付けられています。人間の目は緑色の光を最も明るく感じ取る特性があり、高速走行中に遠くの文字を瞬時に読み取るうえで効率的な色なのです。
一方で、一般道の青色は、街路樹や建物など雑多な景色の中で標識そのものを見つけやすくする、誘目性に優れています。
これは、暗所で人間の視感度が短波長側(青~緑)へ移る「プルキンエ現象」も関係しており、夕暮れ時などの視認性を高める効果もあります。
つまり、高速道路では文字の読みやすさ、一般道では標識の見つけやすさが優先されているのです。
では、もう一つの説「緑は目に優しいから」というのは本当なのでしょうか。
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