100年前から長距離列車が次々到着→今や完全な“支線”に 「四国の玄関口」の面影はあるのか?
JR宇野線は、四国へのメインルートとして、かつては東京や大阪から宇野まで直通列車も運行されていました。今は瀬戸大橋線にメインルートを譲り、半分の区間が「支線化」しましたが、地域輸送や航路接続という役目を担い続けています。
四国連絡の記憶を残す宇野駅へ
それでは、宇野線に乗車します。金曜の朝、岡山7時10分発の高松行き快速「マリンライナー7号」に乗ります。5両編成の車内は立客も出るほどの盛況です。

7時26分、茶屋町に到着。茶屋町は2面3線の構造で、中線には宇野行き普通列車が待機しており、同一ホームで乗り換えられます。車両は2023年に導入された227系500番台で、転換式クロスシートを備えた快適な車両です。以前は国鉄型の115系や213系を多く見かけましたが、すれ違う列車は今や227系が大半。急速に置き換えが進んでいるようです。
茶屋町~宇野間は1日3879人(2024年度)の平均通過人員があり、列車の座席はほぼ埋まっていました。単線ですが途中駅のほとんどに交換設備があり、しかもホームや交換設備の線路が非常に長いのは「四国へのメインルート」として、かつて長い編成の列車が走っていた名残りです。そのため現在の3両編成の普通列車にとっては持て余し気味です。
7時49分着の備前田井駅は、2016(平成28)年の「JR宇野みなと線アートプロジェクト」で整備され、オシャレな雰囲気。そして7時53分、終点の宇野駅に到着。途中駅の乗降は少なく、大半の乗客が宇野まで乗り通しました。
宇野駅は、かつては広大な構内に多数の側線を備えた駅でしたが、1994(平成6)年の新駅舎完成により、現在は1面2線のコンパクトな駅となっています。
駅前はアートのオブジェクトも置かれ、こぢんまりと整備された印象です。高松行きフェリーはもうありませんが、四国汽船と小豆島豊島フェリーが発着する宇野港が近くにあり、今でも航路連絡の使命を果たしています。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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