「全電車を10年以内に“VVVF化”せよ」それは現実的なのか? 大手私鉄の達成率を比較したら「さすがに無理じゃね…?」

国土交通省から、2035年までに主要鉄道事業者の全車両をVVVF化するという素案が示されました。そこで大手私鉄16社の「VVVF化率」を調査。結果からは、各社まちまちながらも東西で異なる傾向となりました。

VVVF化率は「東高西低」

 関西は、新車の導入を抑制していた時期が長く、各事業者のVVVF率は5割から6割程度に留まっています。関西の大手5社のうち、VVVF化率が最も高いのは南海の68.1%、最も低いのは京阪の49%です。しかし、両社ともVVVF化されていない車両でも回生ブレーキを備え、省エネルギー効果があります。回生ブレーキ付車両の導入率は100%です。

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VVVF化率が低い近鉄の車両(左)と、VVVF化率が比較的高い阪神の車両(右)。写真の車両は両方ともVVVF車両(柴田東吾撮影)

 阪神は2027年春から新型3000系を導入。京阪は13000系を増備する予定で、VVVF化率が上昇する見込みです。

 南海は2027年度末から特急「サザン」を新型車両に更新するほか、一般車両も2027年度までに40両導入することを同社の中期経営計画で発表しています。

 近鉄も、同社の中期経営計画で特急車両「ビスタカー」の置き換えを計画しているほか、2025年度から2028年度にかけて一般車両を150両投入する予定です。

 阪急も近年は新型車両の導入を進めているものの、具体的な計画は公表していません。しかし、2025年3月に公表された阪急阪神ホールディングスの長期経営構想によると、2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み例として鉄道事業におけるカーボンニュートラル運行が取り上げられています。これに関連して、新型車両の導入によるVVVF化の推進が見込まれます。

 このほか、九州の西鉄では1970年代後半に導入した車両(5000形)が多数を占めているため、VVVF化率は6割を切っています。

 先の国土交通省の素案では、2035年までに全車両のVVVF化を完了とありますが、これに加えて初期のVVVF車両(GTO方式)の置き換えも盛り込まれています。

 これを踏まえて、初期のGTOを用いたVVVF車両を除いてVVVF化率を算出したところ、2025年4月の時点で、VVVF化率が100%の事業者は小田急・東京メトロ・相鉄の3社でした。この3社は過去にGTO方式のVVVF車両も存在していましたが、車両の置き換えやVVVFの換装によって淘汰されています。西武と西鉄もGTO方式のVVVF車両はゼロです。

 しかし一方で、GTO方式を除いたVVVF化車両だけに絞ると、東武が5割強、京阪が4割弱、近鉄が2割台にとどまっています。車両の置き換えとVVVFの換装を組み合わせても、2035年までのVVVF化完了は厳しいのかもしれません。

【東高西低】VVVF化が進む各社車両と達成率まとめ(写真と一覧表)

Writer:

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。

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コメント

1件のコメント

  1. 鉄道車両なんて、何十年という寿命があるんでしょ。

    それを、全取っ替えなんて、どうせ役立たずの役人が考えたこと。キニシナイ気にしない。そのうち、世の中も変わるし決めた役人のほうが居なくなるよ。

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