「P-3Cにやべえレーダーとミサイル12発つけようぜ」海自の“驚愕プラン”って? 狙いとその顛末とは
かつての海上自衛隊で、P-3C哨戒機を改造して、長射程ミサイルを12発搭載する「空中巡洋艦」なる構想が考えられました。どういったものだったのでしょうか。
P-3C哨戒機をベースに
1980年代の海上自衛隊で、旧ソ連の爆撃機から護衛艦隊を守ろうと、P-3C哨戒機を改造して、米海軍のF-14戦闘機が積んだ長射程ミサイルを12発搭載する「空中巡洋艦」なる構想が考えられました。対潜用の機材に替えて背中に早期警戒用のレーダーも載せた、“魔改造”ともいえるほどの突飛な案でしたが、実現していれば各国から異形機として注目を浴びたのは間違いありません。
今に語り継がれる「空中巡洋艦」構想は、実質仮想敵国とみなしていた旧ソ連の爆撃機からどう護衛艦隊を守るか、答えの1つとして考えられました。当時、高い防空能力を持つイージス艦や、早期警戒機や空中給油機といった、防空用の戦闘機部隊を支える航空自衛隊機の整備が挙げられましたが、同時に考えられたのが「空中巡洋艦」でした。
当時海上自衛隊はすでにP-3C哨戒機を導入済みで、この機は長い航続時間が特徴でした。そこで、この特徴に目を付けて対潜哨戒用の機材に替え、早期警戒レーダーを載せて日本へ向かってくる爆撃機を遠方でキャッチし、そこへ長射程の空対空ミサイルを撃ち込む戦法を取ろうとしたのです。
レーダーには、当時米海軍のE-2Cが用いていたAPS-138を考えていました。このレーダーの目標探知距離は約450kmという高性能を持っており、遠方の爆撃機をキャッチできます。攻撃には米海軍のF-14戦闘機のみが搭載したAIM-54空対空ミサイルの採用が検討されました。AIM-54は射程130kmで、ほかのミサイルではなしえなかった性能を持っていました。米海軍の空母艦隊防空が主任務だったF-14とAIM-54の組み合わせは当時、一度に6つの目標へミサイルを発射できる破格の性能を備えていたのです。
空中巡洋艦はAIM-54を管制するF-14用のAWG-9レーダーも搭載するとしていたため、実現すれば、胴体の上に円盤型レドームを、機首には戦闘機用のレーダーを積み、12発のAIM-54ミサイルを身にまとった、イカツいルックスの“魔改造P-3C”が現れたことでしょう。





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