「P-3Cにやべえレーダーとミサイル12発つけようぜ」海自の“驚愕プラン”って? 狙いとその顛末とは
かつての海上自衛隊で、P-3C哨戒機を改造して、長射程ミサイルを12発搭載する「空中巡洋艦」なる構想が考えられました。どういったものだったのでしょうか。
「空中巡洋艦」結局実現せず?
しかし、現実には空中巡洋艦は実現しませんでした。相手より先に飛来をキャッチし、長射程のミサイルで撃ち落とす戦法は正しかったものの、母機のP-3C自体はプロペラ機です。飛行速度は低く、運動性も優れているとは言えません。早期警戒型のP-3は米国内で試作機こそありましたが、空中巡洋艦に改造するならさらに設計変更を行わなければなりません。予想された機体価格は約200億円とも言われ、ジェット戦闘機F-15J/DJの2機分に相当したことからも難色が示されたと考えられます。
ちなみに、仮に空中巡洋艦が配備されていたらどうなっていたでしょう。
現在はAIM-54に匹敵する射程を持つ空対空ミサイルが登場しているうえ、ボーイングが2010年代に打ち出したF-15の改修計画「F-15 2040C」では、近代化改修実施後、空対空ミサイルを16発搭載できるとしていました。わざわざ大型機に空対空ミサイルを積む必要性はなくなったうえ、F-14も退役して久しいためレーダー用の部品の供給は滞り、空中巡洋艦は満足のいく稼働率を保つことは出来なかったかもしれません。
とはいえ、旧ソ連の爆撃機が護衛艦隊や日本そのものの防空にとって、大きな脅威だったのは確かです。空中巡洋艦は、当時の防衛関係者が対抗策に頭を悩ました現れだったのでしょう。
Writer: 清水次郎(航空ライター)
飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。





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