新幹線並みのコスト!? 琵琶湖岸を走る「路面電車」全然“チンチン電車”じゃないワケ-性能も最上級でした
路面電車というと、その字面のとおり一般道の上を自動車やバイクとともに進む、バス代わりの小さな電車というイメージがあります。しかし、滋賀県には超ロングかつハイスペックな路面電車が存在しました。
路面電車として日本最長!
「チンチン電車」の俗称でも知られる路面電車は、昭和期の都市交通を支えた存在でした。一般的なイメージは、車道上の線路を走り、信号や車の流れに合わせて停車する姿でしょう。最盛期に比べてその数は減少しましたが、近年は宇都宮ライトレールのような次世代型LRTの登場で再び注目を集めています。
路面電車は道路上を、自動車やオートバイ、トラックなどとともに走行するため、通常は小型の単車もしくは2両編成が一般的です。軌道運転規則においても「連結した車両の全長は30m以内」と定められているため、車体の長さに法的制約があります。
しかし、滋賀県の県庁所在地である大津市では、この常識を覆す全長66mの “日本一長い路面電車”が運行されています。ここを走る京阪800系電車は、1両あたり長さが16.5mあり、基本編成は4両のため、前述した編成長になるのです。
全長66mの路面電車が走るのは、京阪京津線です。この路線は京都市山科区の御陵駅から滋賀県大津市のびわ湖浜大津駅までを結んでおり、その途中の上栄町~びわ湖浜大津間(約500m)は併用軌道となっています。すなわち、この部分が車道上を電車が走る区間で、ここでは長大編成が自動車と並走する光景が見られます。
何も知らずに訪れると、まるで通常の鉄道列車がそのまま一般道を走っているかのようです。京津線ではこの運行を実現するため、軌道運転規則の例外許可を受けています。
なお、この道路は大津市内でも交通量の多い幹線道路のひとつであることから、信号待ちの車列の中を、全長66mの列車がゆっくりと横切る姿は圧巻です。800系電車の長大な編成が交差点をゆっくり抜けていく光景は、この町ならではの“動く観光名物”ともいえるでしょう。




コメント