空自の次期戦闘機なぜ「アメリカ製」じゃない? 日英伊タッグ「GCAP」開発の真相 ブラックボックスを例えるなら“iPhone”その意味
航空自衛隊の次期戦闘機「GCAP」。なぜ今回はアメリカではなく、イギリス・イタリアと組むのでしょうか。そこには、単なる仲良しこよしではない、切実な「懐事情」と「自由」への渇望がありました。
アメリカ製戦闘機は「iPhone」? 自由に拡張できない苦悩
2025年現在、航空自衛隊のF-2戦闘機の後継となる次期戦闘機「GCAP(グローバル・コンバット・エアー・プログラム)」の開発が進行中です。
今回、日本がパートナーに選んだのは、同盟国のアメリカではなく、イギリスとイタリアでした。なぜ、アメリカではなかったのでしょうか。
その最大の理由は、「ブラックボックス」の存在にあると考えられます。
最新鋭のステルス戦闘機F-35など、アメリカ製兵器は極めて高性能ですが、その中身は厳重に秘密化されています。これを身近なものに例えるなら「iPhone」のようなものです。
iPhoneは高性能で使いやすいですが、基本ソフト(OS)を勝手に書き換えたり、分解して改造したりすることは許されていません。
対して、Androidはソースコード(設計図)が公開されており、誰でも無償で利用、改変、配布が可能となっています。
戦闘機も同じで、「日本独自の新しいミサイルを積みたい」と思っても、システム(OS)の改修にはアメリカの許可が必要なため、巨額の費用を請求されたり、そもそも許可が下りなかったりすることが常態化しています。
日本には過去に苦い経験があります。F-2戦闘機を日米で共同開発した際、飛行制御を行うコンピュータのソースコードの提供をアメリカ側から拒否されたのです。
飛行機の「脳」にあたる部分をブラックボックス化された日本は、自力で一からプログラムを開発せざるを得なくなりました。
こうした「自由のなさ」を解消し、自分たちで必要に応じて逐次手を加えられるAndroidのような戦闘機を作るためには、アメリカ以外のパートナーと対等に組む必要があったと言えるでしょう。
もちろん、理由はそれだけではありません。そこには、目がくらむような「お金」の問題も関わっていました。




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