ローカル線なのに“電車”、車窓は海! イマイチ観光路線になりきらない「北陸‐山陰短絡路線」の実力を見た!

敦賀~東舞鶴間84.3kmを結ぶJR小浜線は、ローカル線としては珍しく全線電化されています。京阪神を通らず北陸と山陰を結ぶルートは、古くから重視されてきました。

かつての座席不足にも納得

 東舞鶴6時29分発・敦賀行きの普通列車に乗車します。東舞鶴は1面2線の高架駅で、近代的な外観。軍港の街だけあり、駅舎内にはゲーム『艦隊これくしょん』のキャラクターパネルも置かれていました。

 小浜線の普通列車は、全て125系電車で運行されています。2002(平成14)年から2006(平成18)年にかけて製造された形式で、JRグループの新製車両としては珍しい両運転台の電車。トイレも付いています。

 ちなみに座席は、登場時は1+2列の配列でしたが、座席数が少ないと問題になり、地元負担で2+2列に改造されました。車内中央部も、側扉の増設を考慮して座席のない「ゆとりスペース」でしたが座席が追加されました。これにより「ゆとりスペース」の跡地には窓がない座席もありますが、座席定員は31人から46人に増加。

 このため、旧「ゆとりスペース」の座席は、窓がない場所があります。一部ロングシートで転換式クロスシートが装備されていますが、興味深いのは転換しない車端部は、新快速用223系と同じ座席なのですが、転換部はクッションが異なることです。

 恐らく、コストダウンの観点なのだと思いますが、他に類を見ない座席と感じます。

 乗車した列車は2両編成でしたが、連結部分の貫通路はつながっていませんでした。

 始発時点で乗車は3人。車窓は建物が整然と並んでいる街並みが印象的です。青郷で野球少年3人が乗車。駅舎がオシャレな三松で5人乗車。進行方向左手(北側)の景色を眺めると、田園風景と町が混ざる印象で、海はあまり見えません。

 行き違いが可能な駅の若狭高浜で2人下車、6人乗車しました。早朝ですが、人の動きがあります。若狭高浜を出ると列車の速度が上がり、揺れが大きくなります。人家が増えてきました。若狭和田で4人乗車。ここも駅舎がオシャレです。

 列車から海が見え始めると若狭本郷です。蒸気機関車「弁慶」が保存されています。1人下車、10人乗車。街並みが美しく感じられます。加斗で4人乗車、勢浜で1人乗車すると、海の景色が素晴らしい区間に。

 市街地に入り、7時22分に小浜到着。30人が下車して、26人が乗車します。筆者も下車して周辺を散策。駅近くの小浜市中央公園には、C58形蒸気機関車171号機が保存されていました。

 小浜9時34分発の普通列車に乗車します。38人が乗車しており、なかなかの盛況です。新幹線駅が計画されている田園地帯を眺めつつ、9時39分に東小浜着。10人乗車します。その後、上中で2人下車、大鳥羽で5人乗車、藤井で1人下車、三方で5人乗車と、各駅で動きがあり、座席はほとんど埋まりました。

 気山で1人下車し、2人乗車。10時16分に美浜着。4人が下車し、15人が乗車。立客が発生します。その後、終点の1駅手前の西敦賀で2人が下車し、10時37分敦賀着。

 列車内は全線を通して賑わっており、座席不足が問題になったことも納得。北陸新幹線の延伸で並行在来線になるかもしれない小浜線ですが、沿線の重要な足としての使命を果たしているように感じられました。

※内容を一部修正しました(5日12時50分)。

【海を見ながら…】小浜線からの街並みと海(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

1件のコメント

  1. 「基山」とあるのは「気山」の誤り。